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新内閣は「疑惑の玉手箱」じゃけぇ デジタル相に豪華接待、裏金業者からの献金…

「週刊文春」編集部
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 総裁選で「老壮青のバランスが大事」と語っていた岸田文雄新首相(64)。その公約通り、40代から70代まで揃い、20人の閣僚のうち13人が初入閣という顔ぶれとなった。だが、蓋を開けてみると……。

“魔の3回生”からは3人を登用。中でも閣内最年少は、麻生派の牧島かれんデジタル相(44)だ。

当選3回で抜擢された牧島デジタル相

「河野太郎氏の父・洋平氏の神奈川17区を継ぎ、12年に初当選した。その関係から、総裁選では河野氏のために汗をかいた。わな猟免許を持つ牧島氏は自らイノシシを解体し、ジビエ料理を振る舞うこともあります」(自民党関係者)

 父は神奈川県連の重鎮・牧島功県議。組閣があった10月4日夜、話を聞いた。

――デジタルの知見は?

「平井先生と部会や勉強会も重ねてきていますからね。期待を裏切らないよう頑張ってほしい」

 デジタル庁を巡っては平井卓也前大臣や、ナンバー2の赤石浩一デジタル審議官がNTTの会員制レストラン「KNOX」で豪華接待を受けていた問題が発覚。平井氏は閣僚給与1カ月分を自主返納、赤石氏にも懲戒処分が下されている。

あらゆる支出が一族企業へ

 実はNTTの内部資料によれば、牧島氏も、19年6月13日と昨年6月9日の2回、NTTの秘書室長からKNOXで接待を受けている。牧島氏が苦手な食材も明記され、料金は一人5万円。「最も高いコース」(NTT関係者)だという。

 折しも、牧島氏は党デジタル社会推進特別委員会の事務局長として、2回目の接待直後に当たる昨年6月11日、DX推進などを盛り込んだ政策提言を取りまとめている。デジタル関係に精通した若手議員として、業界で知られていたのだ。

 牧島氏の回答。

「会食を伴う意見交換を行ったのは事実です。(飲食費を)支払った記憶はございません。政治家として様々な方と意見交換を行うことは重要であり、問題ないと考えています」

 2人目の3回生は、岸田派の堀内詔子ワクチン相(55)。夫は山梨県などで運輸、観光、不動産など手広く手掛ける富士急の創業家・堀内光一郎社長。義父の故・光雄氏は通産相などを歴任した。大久保利通の子孫にもあたる超名門だ。

堀内ワクチン相

「選挙区の山梨2区を、二階派の長崎幸太郎氏(現知事)と争っていたこともあり、二階俊博幹事長の不透明な党運営を批判する一方、自身はクリーンな政治を掲げてきました。ただ、彼女の政治活動は、富士急やその関連会社に“おんぶに抱っこ”というのが、実情です」(山梨県連関係者)

 それが浮き彫りになるのが、堀内氏が代表を務める「自民党山梨県第2選挙区支部」の収支報告書。「コピー・チャージ料」は富士急ビジネスサポート、「峡東事務所賃料」は富士急建設、「切手代」は富士急百貨店、「折込料」は富士急トラベル……ありとあらゆる支出が、富士急の様々なグループ企業に行われているのだ。過去8年間で累計約2700万円に及ぶ。

 政治資金規正法に詳しい神戸学院大学の上脇博之教授が指摘する。

「政治資金には税金が含まれており、使途には厳正さが求められます。その意味で親族が関連する企業への支出については、どうしてもその企業に発注しなければいけない必然性があるのか、説明すべきです」

 堀内氏の回答。

「早速、調査させて頂きましたのでご報告させて頂きます。『コピーチャージ料金』『廃棄物処理費』『清掃管理費』を、(支部の家主である)富士急ビジネスが立て替えた料金を払っております。なお、富士急百貨店からは1階の切手売り場から、『切手』を買ったものです。富士急建設への支払いは、毎月5万円選挙区支部の峡東事務所の家賃です。決して格安の料金ではございません。『政治資金の還流』は誤解です」

 3人目の3回生は、小林鷹之経済安全保障相(46)。岸田政権で新設された目玉ポストだ。岸田氏と同じ開成高卒。東大法学部を経て、旧大蔵省に入省した。

小林経済安保相

「小林氏は二階派とはいえ、派閥の推薦人事ではありません。むしろ、彼は“甘利チルドレン”。経済安全保障の法整備を進める党の新国際秩序創造戦略本部で、座長が甘利明氏、事務局長が小林氏という間柄です。岸田氏は、二階氏に入閣を事後報告のように伝えただけでした」(官邸関係者)

引退表明議員の「思い出入閣」

 一方、「老」から喜寿の2人が初入閣。金子原二郎農林水産相(77)は、衆院5期、長崎県知事を3期務めた後、参院議員として国政復帰したが、これまで政治とカネを巡る疑惑がたびたび取り沙汰されてきた。

元長崎県知事の金子農相

 県連幹事長まで逮捕された02年の知事選。県の工事を請け負った建設業者から、自民党支部を通じて260万円、金子氏側への“迂回献金”が報じられた。

 さらに06年には、長崎県庁で、業者に架空発注し、公金を管理させる裏金作りが発覚。その額は99年以降、4億円に及んだが、金子氏は裏金作りに加担していた企業から計144万円の献金を受けていた。

 それだけではない。11年には、長崎県の国営諫早湾干拓事業を巡り、金子氏の長女が取締役を務める企業「T」が、実績が乏しいにもかかわらず、入植者として選定されていた問題が浮上。その妥当性を調査するため、長崎県議会では百条委員会が立ち上がった。

 地方自治において、出席議員の過半数の議決で設置される百条委は、虚偽証言を行った場合、罪にも問われる非常に重いもの。ところが、金子氏は百条委への出頭を拒否し続けたのだ。

 当時、百条委で調査を行った小林克敏長崎県議(自民党)が語る。

「Tは入植要件を満たしていないにもかかわらず、入植し、審査にも疑いの目が向けられています。しかも諫早湾干拓事業は農水省の所管です。担当大臣として公正な行政を期待します」

 金子氏に見解を求めたところ、弁護士が取材に応じ、「(裏金業者からの献金は)裏金によるものではなく、政治資金規正法に則ったもの」などと回答。百条委の出頭拒否についてはコメントしなかった。

 もう一人の喜寿は、二之湯智国家公安委員長(77)だ。

二之湯国家公安委員長

「竹下派ですが、岸田氏の推薦人に名を連ねました。来年の参院選での引退を表明しており、『思い出入閣』などと揶揄されています」(自民党担当記者)

 国家公安委員長は全国の都道府県警を司る立場だが、

「二之湯氏の公設秘書(当時)は10年、会社役員宅に宅配業者を装って訪問。応対した妻に刃物を突き付けて両手を縛り、1億円を奪って逃走した。18年に京都府警に強盗致傷などの疑いで逮捕された。京都地裁は懲役13年の実刑判決を下し、秘書は控訴しています」(同前)

 二之湯氏は当時、甘利氏と全く同じように「寝耳に水」と語っていたが……。

 二之湯氏に尋ねると、

「忙しいので、回答できません」

 30年ぶりとなる広島県選出の首相。蓋を開けたら、岸田新内閣は「疑惑の玉手箱」じゃけぇ。

source : 週刊文春 2021年10月14日号

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