ノーベル賞学者の梶田教授をトップに据えた国家的プロジェクト「KAGRA計画」。だが、その研究成果に疑義を呈する声が上がっている。小誌が入手した計6時間に及ぶ会議音声、学術論文、内部文書を解析すると――。
今年4月19日、日本が誇るノーベル賞学者が率いる国家的プロジェクトの幹部会議は紛糾していた。会議の後半、国立天文台の准教授がこう声を上げた。
「明らかに『感度よりもスケジュールが優先』と、EO(最高幹部)が言っているわけですね。その理由が『MOA(海外機関との研究協定)です』では、あまりにもサイエンティフィックに理解できないんです」
さらに、EOの一人でもある大阪市立大の教授も同調するように続けた。
「梶田さんの言ったニュアンスを、幾ら何でも『25が20でも(になっても)駄目とは言わない』というくらいの意味と捉えていた。1MPcでやったってしょうがないでしょ! サイエンス無いんだったらやったってしょうがないよ」
最前線の研究者たちが厳しい言葉を向けていたのは、2015年のノーベル物理学賞受賞者で、日本学術会議の会長でもある梶田隆章氏(62=東大宇宙線研究所所長)だ。その梶田氏が研究代表者を務めているのが、「大型低温重力波望遠鏡KAGRA計画」。日本最高峰の英知が集うはずのプロジェクトで一体、何が起こっているのか――。
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source : 週刊文春 2021年10月28日号