小沢一郎妻の離縁状をスクープ 松田賢弥氏、67歳の早すぎる死

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「週刊文春」編集部
ニュース 社会 政治

「小沢一郎の天敵」として名を馳せたライターが、10月8日、肺炎悪化の末、急性心不全で息を引き取った。松田賢弥氏、享年67。

業界紙、「週刊現代」を経てフリーに(講談社提供)

 故小渕恵三首相元秘書官のNTTドコモ株疑惑を暴き、07年には当時の赤城徳彦農水相や菅義偉総務相の事務所費疑惑をスクープ。野中広務氏や小泉純一郎氏、青木幹雄氏ら政界の実力者を取材し、著作をものした。とりわけ小沢一郎氏については多くの記事を執筆。元担当編集者が語る。

「松田さんは小沢氏と同じ岩手県出身。1989年に同氏が47歳の若さで自民党幹事長になった頃から注目し、四半世紀にわたって追い続けた」

 白眉は松田氏が入手し、小誌(2012年6月21日号)で発表した「妻からの『離縁状』」だ。東日本大震災後、食糧を備蓄し、家に閉じこもって謀議を繰り返す小沢氏に愛想を尽かした夫人が、支援者に送った便箋11枚にわたる手紙。「剛腕」と呼ばれた男が放射能を恐れて逃げ惑う姿や愛人、隠し子の存在が綴られ、衝撃を与えた。

「当初、噂ばかりが先行し、大手メディアも散々探し回ったが誰も入手できなかった手紙を求めて、松田さんは何度も岩手に足を運んだ。東京駅で『東京ばな奈』を幾つも買い求め、小沢支援者のもとを一軒一軒訪ねてはお茶を飲み、話を聞く。すぐに手紙をくれる人などいないが、顔を出しては世間話を重ねていた」(同前)

 効率的な取材と真逆の鈍牛のような歩みが、結局はスクープに至る唯一の道だった。掲載号は完売した。

小沢氏

 普段は黒いピンストライプのスーツにダークグレーのシャツ、ノーネクタイ。鞄は持たず、資料は紙袋。背広の内ポケットはメモとペンでいつも膨らんでいた。携帯はガラケー。スマホともパソコンとも無縁で、出張先から担当編集者に「次、●●に行きたいんだ」と電話。ネットで最短経路を調べて伝えると感心するような、昔気質の人だった。

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source : 週刊文春 2021年11月4日号

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