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鈴木誠也(広島東洋カープ 外野手)「苗字は鈴木だが、イチローと姻戚関係にはない……想像だが」|鷲田康

野球の言葉学 第593回 

鷲田 康
エンタメ 社会 スポーツ

 今夏に開催された東京五輪で金メダルを獲得した野球の日本代表で、ひときわ米メディアの注目を集めていたのが、広島の鈴木誠也外野手(27)だった。

言葉は米メディア『バースツール・スポーツ』のもの

 鈴木は昨オフの契約更改でポスティング制度を使ったメジャー移籍の希望を球団に伝え、球団も「基本的にメジャー志向の選手は、できる限り応援してやりたいという気持ちはある」(鈴木清明球団本部長)と移籍容認の姿勢を示していた。

 そのため米国戦後には米メディアが鈴木に殺到。

「チャンスがあるなら最高の舞台でプレーしたい」

 LAタイムズは、メジャー挑戦に意欲的な鈴木の言葉をこう報じた。

「もともと鈴木は巨人ファンでフリーエージェントの権利を獲ったら、先輩の丸(佳浩外野手)の後を追って巨人に移籍するのではないかと言われていました」

 こう語るのは地元広島の放送関係者だ。

「しかし元新体操選手の畠山愛理夫人と付き合い出した2018年頃から海外志向が強くなり、今年はキャンプからメジャーの動くボールを意識して、ポイントを後ろにした打撃スタイルに挑戦していました。しかし、これが失敗で開幕から絶不調。それでも五輪前から本来のフォームに戻して、それが後半戦の爆発に繋がりました」(同前)

 追い風になっているのは、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手やピッツバーグ・パイレーツ移籍後に爆発した筒香嘉智外野手らメジャーリーグでの日本人打者の活躍だ。

「苗字は鈴木だが、イチローと姻戚関係にはない……想像だが」

 こんな言葉学で鈴木を紹介したのは、米スポーツサイトの『バースツール・スポーツ』だった。

 同サイトは「今年の日本のホットな名前は、間違いなくセイヤ・スズキだ」と鈴木をこう絶賛した。

「イチローとは全く異質の選手。イチローは三振をせず、四球で歩かず、パワーもなかったが、安打製造機で史上最高の右翼手だった。一方、セイヤ・スズキは四球が非常に多く、パワーヒッターで、投手に甘い球を投げさせてそれを容赦なく叩く」

 同じく米野球専門サイトの『ブリーチャー・ネーション』は、鈴木に興味を持つ球団として、シアトル・マリナーズやテキサス・レンジャーズなどの球団名も挙げて、争奪戦の可能性を報じている。

米では中距離打者

 すでに鈴木は代理人も決め、メディカルチェックを行う手続きにも入っているという。移籍への準備は着々と進んでいるが、果たして移籍をしたら、どれくらいの成績を残せるのかは気になるところだ。

「大谷の出現が日本人パワーヒッターへの再評価のきっかけになっていますが、実際には大谷は別格。鈴木はパワー的には松井(秀喜)さんよりも下になるでしょうから、メジャーでは中距離打者の分類になる」

 こう評するのはスポーツ紙のメジャー担当デスク。

「ただ左に比べて1塁に3歩遠いと言われる右打者は、内野安打も少なく打撃では不利。そうなるとパワーで劣る日本人の右打者が内野手ならともかく、打ってナンボの外野手で成功するのは難しいというのがこれまでの定説です。過去に同じ右の外野手でオリックスの田口壮外野守備走塁コーチが実績を残しましたが、あくまでバイプレーヤーとしての評価でした」(同前)

 もし鈴木が成功すれば、これもまた日本人選手にとっては、一つの大きな壁を打ち破る快挙なのである。

メジャーで「鈴木」と言えばイチロー

source : 週刊文春 2021年11月4日号

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