「甘い生活」はフェリーニ

人生エロエロ 第458回

みうら じゅん
エンタメ 芸能

 人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。

“甘いマスク”とは、何も舐めると甘いんじゃなくて、今で言うイケメンのこと。僕が中学生の頃はフランス俳優、アラン・ドロンがその代表格であった。

 ドロンは顔だけじゃなく、甘いボイスでも世の御婦人方をメロメロにしてた。

 邦題はズバリ『あまい囁き』。ダリダという女性シンガーとデュエット曲を出し、よく深夜ラジオで流れてた。

 フランス語なので何を歌っているのかさっぱり分らないのだが、それがかかると何だか気持ちがモヤモヤしてきて、ついでに股間がやたら疼く。

 要するにいやらしいのだ。主旋律はそのダリダが歌い、ドロンはツッコミのように甘い囁きを挟み込んでくるという構成。

「ダリダって、ダリダ?」

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source : 週刊文春 2021年11月11日号

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