政権が相手でないと怒らない?

新聞不信

「週刊文春」編集部
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 最近、とみに新聞の怒りのツボが分からない。

 急に怒ったり、ずっと怒っていたりする一方で、妙に淡白だったり、物分かりが良過ぎたりするのだ。怒りの基準が読者には計りかねる。

 例えば、7月の東京都議選中に無免許運転で人身事故を起こしながら公表せず、再選された木下富美子都議の一件である。雲隠れの後、9日にやっと初登庁して大騒ぎになったが、さて新聞の怒りのほどはどうだったか。

 朝日と日経の読者は大変だったろう。よくよく探さないと、社会面のベタ記事には辿り着けなかったに相違ない。

 中身も質量ともにスカスカである。朝日の「無免許事故の都議登庁」は18行で、日経の「無免許で事故 都議辞職否定 再選後初の登庁」も23行だ。揃って「深く深く反省している」「議員活動の中で応えていきたい」と都議の言い分は伝えておきながら、肝心の「居座り」の酷さを裏付けるデータがない。

 9日には委員の反発で公営企業委員会が開けなかったとか、議員辞職勧告決議案を都議に二度突きつけても法的な拘束力はないとか、議員報酬は停止出来ず年末には都議に約200万円のボーナスが出るとか、実害から制度上の問題までの基礎情報は、毎日など他紙を読み合わせないと、読者は知り得ないのである。

 そもそも、都議が都民ファーストの会公認で再選され、除名された事実も改めて喚起する必要があったはずだ。議会を混乱させても「ごね得」が罷り通る現状もむろんおかしいが、「風」で当選させた政党の責任が看過されるようではそれこそ、政治不信や低投票率の風潮を助長させるばかりではあるまいか。

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source : 週刊文春 2021年11月25日号

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