週刊文春 電子版

妻が逮捕された編集長は辞任 習近平が自賛する民主派潰し

THIS WEEK「国際」

野嶋 剛
ニュース 社会 政治 国際

 11日まで開催された中国共産党中央委員会第6回全体会議(6中全会)では、過去に二度しかなかった「歴史決議」を採択した。前例のない習近平「3選」への権威づけを、来年秋の党大会に向けて固めるためとみられる。この日、公開された6中全会コミュニケの中身でひと際注目を集めたのが、国家安全維持法(国安法)による民主派潰しが続く香港問題への言及だった。

毛沢東、鄧小平と並んだ習近平

 抽象的な記述が大半を占める中で、香港については異例とも言える具体的な内容となっていた。よほど香港情勢の「正当化」が必要だったのだろう。そこでは「一国二制度の堅持のため」、党中央は抜本的な対策を講じたとし、「愛国者による香港の統治」を断固実行し、「香港地区の情勢の混乱から安定への重大な転換を行なった」と書き、国安法を駆使したこの1年の香港対策を自画自賛した。

 その「愛国者統治」の一つのメルクマールとなる香港議会「立法会」の選挙が12月19日に予定される。今回の立法会選挙はもともと民主派の躍進が想定されていたが、中国は3月に全国人民代表大会の決議で立候補資格の事前審査を厳格に行なうなど、意図的な民主派排除を可能とする選挙制度改革を行なった。新制度下での初の選挙となり、6中全会直後に立候補の届出が完了したが、民主党など主要民主派政党は擁立を見送り、出馬の顔ぶれからほとんど民主派が姿を消した。

 共産党機関紙『人民日報』は「多くの選挙区で複数候補が立候補し、公平な競争が保障され、新制度は先進性を見せた」と持ち上げた。だが「候補者を多く見せかけるため、知名度の低い候補を立候補させた出来レースではないか」という有識者の見方を報じる民主派メディアもあり、そちらの方が実態に近いようだ。

 一方で、民主派メディアへの圧力も続いている。廃刊に追い込まれた『リンゴ日報』なきあと、民主派の論陣を支えているウェブメディア『立場新聞』の編集長兼役員の鍾沛権氏が「家庭の事情」により1日に辞任した。鍾氏の妻はリンゴ日報の前副社長で、国安法違反容疑で逮捕されている。立場新聞は8人いた役員のうち6人が辞任、財源にしていた読者の寄付受付も停止し、その運営がいつまで続くか心配されている。

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

すべての記事が読み放題
月額プランは初月100円

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 音声・動画番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 週刊文春 2021年11月25日号

文春リークス
閉じる