週刊文春 電子版

中村悠平(東京ヤクルトスワローズ 捕手)「古田さんから『お前がその気になれ』って言われて、その言葉をずっと胸にやってきたので、本当に嬉しいです」|鷲田康

野球の言葉学 第596回

鷲田 康
エンタメ 社会 スポーツ

 ヤクルトがクライマックスシリーズ(CS)のファイナルステージで巨人を破り、6年ぶりの日本シリーズ進出を決めた。

「初戦は2年目の奥川恭伸投手(20)が完封。2戦目も今季、急成長した左腕・高橋奎二投手(24)が菅野智之投手(32)との投げ合いを、6回まで2安打無失点に抑えて投げ勝った。最下位に沈み、投壊と言われていた1年前がウソのような勝ち方でした。もちろん投手出身の高津臣吾監督(52)の手腕が大きいのですが、同時にもう一人、投手陣を支えて影のMVPと関係者が口を揃えるのが、中村悠平捕手(31)です」(ベテラン放送関係者)

 中村は2015年には正捕手となり規定打席にも到達し、優勝の美酒も味わった。しかしその後は配球の悪さを指摘されて、途中交代させられることもあり、一昨年オフには球団が楽天から自由契約となった嶋基宏捕手(36)を獲得。首脳陣の信頼を得た正捕手には、なり切れていなかったのが現実だった。

 その上、昨年は開幕日の試合前の練習で上半身を痛めて選手登録を抹消されるなど、ケガに泣いて、わずか29試合の出場に終わっていた。

 まさに崖っぷち。今季はレギュラーを懸けた正念場のシーズンでもあった訳だ。

 そんな中村の捕手力を劇的に変えたのが、今春のキャンプで臨時コーチを務めた古田敦也さん(56)だったのである。

春に14年ぶりにヤクルトを指導した古田臨時コーチ

 キャンプでバッテリー、特に捕手を中心に指導に当たった古田さんは、恩師の野村克也さんばりのミーティング漬けで考える野球を徹底した。配球への考え方はもちろん、とにかく安易に妥協せずに最後まで考えて考え抜くという“野村の教え”を選手に強く説いた。

「『それまでこの投手のこの球は使えない、このカウントではこのコースにいったらダメと捨てていた配球があった』と中村から聞いたことがあります」

 こう語るのはスポーツ紙のヤクルト担当記者だった。

「しかし古田さんから『投手には色々な可能性がある』と言われて、改めて固定観念や先入観を捨てて『今までにないリードにチャレンジしようと思った』と言っていました」

有料会員になると、この記事の続きをお読みいただけます。

すべての記事が読み放題
月額プランは初月100円

有料会員になると…

世の中を揺るがすスクープが雑誌発売日の1日前に読める!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 音声・動画番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る

source : 週刊文春 2021年11月25日号

文春リークス
閉じる