林真理子【特別寄稿】寂聴先生逝く

林 真理子
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 瀬戸内寂聴さんが99歳で亡くなった。親交が深く、「若い頃から可愛がっていただいた」という林真理子さんが追悼文を寄せた。

 今日は文藝春秋で、新刊の取材日であった。午後から夕方まで、ぎっしりと新聞や雑誌のインタビューがある。

 最初にまず雑誌の取材があり、写真を撮るために廊下に出た。カメラマンに言われたとおり、壁ぎわに立っていると、若い編集者がスマホを見て叫んだ。

「あっ、瀬戸内先生が亡くなられたんだ」

 すうっと血の気が引く、というのはああいうことを言うのだろうか。頭が真白になり何も考えられなくなった。

 実は昨日、別の出版社の編集者と、LINEでこんな会話をかわしていたばかりである。

「今、デマがいろいろとびかっているんです」

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source : 週刊文春 2021年11月25日号

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