「あんた、地獄に落ちるわよ!」。歯に衣着せぬ毒舌を売りに、視聴率女王の座に就いた占術家がこの世を去った。著書は1億部を突破し、莫大な財と名誉を得ながらなお、男とカネを追い求めた怪女。その数奇な人生を辿る。
関西の“テレビ女王”上沼恵美子が、完成間もない京都の細木数子邸に招かれたのは約20年前のこと。
玄関のバカラの傘入れに驚くと「1000万」。玄関の赤松の一枚板に驚くと「500万」。細木からはすぐに値段が返ってくるのだった。
上沼が振り返る。
「いやらしい、でも大阪的には値段で言うてもらうのが一番わかりやすい(笑)。そりゃもう凄いお家でしたよ。大きな仏壇の前にはマスクメロンがみかんみたいに山盛りになっていて、ゴロゴロゴローンてこっちに崩れて転がってくるんです。それだけ聞いたらイヤミやなと思うかもしれませんけど、あの方にだけ許される世界でしたね。だから先生もしんどかったんじゃないかと思います。そのイメージでずっといかれたので」
11月8日、占術家の細木数子が呼吸不全で、東京・神楽坂の自宅で亡くなった。享年83。
毎年発行される六星占術の本は大ベストセラーに。60代半ばから民放の冠番組を持つや、タレントたちを「鑑定」の名のもと、厳しく公開説教。その歯切れの良さで、瞬く間に視聴率女王となった。
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source : 週刊文春 2021年11月25日号