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「秘密主義」「フロント介入拒否」 オリックス中嶋監督の“オレ流”

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「週刊文春」編集部
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 25年ぶりにパ・リーグを制覇し、CSでもロッテに完勝したオリックス。投手5冠の山本由伸など選手の活躍も光ったが、「前回優勝時にも捕手としてグラウンド上の“指揮官”だった中嶋聡監督(52)の手腕が大きい」と番記者は言う。

2年連続最下位から一気に頂点へ ©共同通信社

 阪急を皮切りにセ・パ4球団を渡り歩き、2015年、日ハムで現役引退。19年に二軍監督としてオリックスに復帰すると、昨年8月に監督代行に就き、今季から正式に監督となった。

「現役時代、身内にも放たれる威圧感からついた愛称は“サメ”。ただ、素顔はよく冗談を飛ばすキャラで、投手からの信頼は厚かった」(スポーツ紙デスク)

 ベンチ外では余計なことを一切話さず、番記者たちから“秘密主義のサメボス”と呼ばれている中嶋監督。CS突破後も試合を決めた小田裕也のバスター強攻策を問われ「一番聞かれたくない質問。全く答えられない」と鋭い眼光を飛ばした。

「10月2日に骨折して今季絶望と見られた主砲・吉田正尚の状態も隠し通した。CSでの起用を聞かれ『デリケートな部分なので軽々しく言えない』と言葉を濁したが、その翌日に3番DHで驚きの復活。ロッテとの3戦で3安打を放つ活躍を見せた」(前出・番記者)

 秘密主義を徹底したのは、情報漏洩を嫌うため。実は“敵”は身内にもいたのだ。

「福良淳一GMです。オリックスはこれまでGMが実権を握り、西村徳文前監督時代にも選手起用に頻繁に口出ししていた。低迷すると首脳陣の欠点をメディアに流し、故障者情報を漏らすことまであった」(同前)

 だが、中嶋監督は現場介入を断固拒否。「納得できないことはフロントに言われてもやらない。ダメならいつでも辞める」という覚悟で改革に着手したのだ。

「福良GMは走攻守三拍子揃ったバランスのいい選手を好むが、中嶋監督の起用方針は真逆の“一芸主義”。二軍にいた杉本裕太郎の長打力を買って4番に抜擢し、宗佑磨の守備センスを見抜いて外野から三塁にコンバート。小田には小技を徹底的に磨かせるなど、個々の長所を組み合わせる戦法を貫いた。選手には『責任は全部俺が取る』と訴え、信頼を勝ち得ました」(同前)

 周囲の雑音を撥ねのけ、“オレ流”を貫き通せたのは、多少のことではぶれない我慢強さがあるからだ。

「長年オリックスは打てないとすぐ二軍に落とすようなチームだった。しかし中嶋監督は一度や二度のミスでは外さず、見込んだ選手は粘り強く使い続ける。選手たちの目から怯えが消えましたね」(前出・デスク)

 楽しみは麦焼酎を炭酸水で割る晩酌だという中嶋監督。勝利の美酒を目指し、サメのように突き進む。

source : 週刊文春 2021年11月25日号

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