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いつもと違うツッコミでむき出しになる“芸人性”

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てれびのスキマ
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 漫才中、トム・ブラウンのみちおが布川に張り手を食らわした。すると布川も応戦。前蹴りを放つ。ファイティングポーズをして、しばし向き合い互いの出方を探る2人――。

 一触即発。あまりにも不穏なこの場面は『くりぃむナンタラ』(テレビ朝日)でのものだ。この番組は2004年に始まった『くりぃむナントカ』からタイトルを様々に変えながら断続的に続いてきたくりぃむしちゅーMCの、いわゆる「くりぃむシリーズ」第9弾。お笑い色の強い企画が多く、特にドッキリ企画では芸人の生理をエグり、その本質に迫るようなものが少なくない。今回行われた「型を破りたい相方たち」もそうだった。いつしか漫才が型どおりになりマンネリになってしまっているという3組を迎え、ツッコミ側がドッキリで普段と違うツッコミをする。その時、ボケ側がどのように対処するかを見るというものだ。

トム・ブラウン(左から布川ひろき・みちお)

 たとえば「否定しない」ツッコミでお馴染みのぺこぱは松陰寺太勇が有田哲平の合図を境に「否定する」ツッコミをするのだ。もちろん漫才にアドリブはつきもの。多少の違いには対応できるだろうが、何しろ普段と真逆。シュウペイはあからさまに「え?」という戸惑いの表情を見せる。なんとか漫才を成立させ舞台裏に戻ると真剣に抗議。いつもはお笑いに対してもどこか軽薄というイメージがあるが「ネタはちゃんとやりたい」と意外な熱い一面を見せる。一方、普段は田渕がボケまくるインディアンスはきむが「ボケさせない」ツッコミを試みる。しかし一瞬「お?」という表情をするも構わずボケまくる田渕。いつも以上にイキイキしている。本気で止めようとするから本気でボケ返す。そこに思わぬ熱が生まれたのだろう。ネタバラシをされると田渕は「ここ何ヶ月かで一番楽しかった!」と充実感をにじませる。

 そしてトム・ブラウン。「ムーミン」を5体合体させて「キングムーミン」にする漫才をするのだが、5体目に「ユーミン」が入ってくるときに「だめー!」と布川がツッコんで「合体させない」。みちおは明らかにパニックになり、引きつった笑顔で「どうした?」という鋭い視線を向ける。「はーい、やり直しますー」と仕切り直すも再び合体の前で止められることを繰り返し、遂に事前に布川が「コンプライアンスだけ不安。危険なんで」と危惧した通り、みちおが手を出してしまい冒頭の場面になるのだ。みちおも怖いが、自分で仕掛けておいて反撃する布川がさらに怖い。緊張感あふれる、まさに上田晋也が言うように「魂のぶつかり合い」。イビツな原石そのままの如き漫才が繰り広げられた。三者三様。型に覆われ見えにくくなっていた彼ら本来の“芸人性”がむき出しになっていた。

『くりぃむナンタラ』
テレビ朝日系 日 21:55~
https://www.tv-asahi.co.jp/nantara/

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source : 週刊文春 2021年12月9日号

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