今週発売号で、2021年ミステリーベスト10を発表しました。今年のミステリー小説の中から、国内と海外のベスト10を決めるアンケート企画です。1977年に始まったミステリーベスト10は、今年で45回目。当初は、推理作家協会の会員の皆さんにアンケートを取った結果を年末合併号に掲載していたそうです。その後、「このミステリーがすごい!」(宝島社)、「本格ミステリベスト10」(原書房)、「ミステリが読みたい」(早川書房)がスタート。「週刊文春ミステリーベスト10」に加え、これらの年末ミステリーランキングのなかで複数1位を獲得すると「ミステリー◯冠」というように呼ばれるようになりました。
「週刊文春ミステリーベスト10」の“事務局”が編集部内に起ち上がるのは9月頃。5人ほどのチームで、アンケートの送り先を精査し、何年も回答のない人を削除し、新規の人を加える。現在は、推理作家協会の会員だけでなく、書店員の方々や大学のミステリークラブなどにも幅広く投票してもらっています。
アンケートをお送りするのは600人以上ですから、その集計、管理は大変です。今回、回答して下さったのは、国内部門で194人、海外部門で170人の方々。「このミステリーがすごい!」の回答者は国内、海外ともに80名とのことなので、2倍以上の方にご協力いただいていることになります。
この企画をもとに、1985年と2012年にはオールタイムベストを決めるアンケートが実施され、どちらも「東西ミステリーベスト100」として書籍化されています。ミステリーが好きな人は大抵、旧版と新版のどちらかを持っているそうで、現在活躍しているミステリー作家の方々にも、ミステリーを読むガイドとして使っていたという方は多いとか。
さて、気になる今年の結果ですが、国内部門の1位は米澤穂信さんの『黒牢城』。大豊作と言われた2021年にもかかわらず、2位とは100ポイント近くの差がつきました。昨年は、1位と2位の差はわずか3ポイントでしたから、「圧勝」と言えるでしょう。ちなみに米澤さんは過去に『満願』(2014年)、『王とサーカス』(2015年)で、2年連続ミステリー3冠の実績の持ち主。『黒牢城』は、織田信長を裏切り、有岡城に立て籠もった荒木村重が城内で起きた怪死事件に翻弄された末、動揺する人心を落ち着かせるため、囚人としていた織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めるというストーリー。これだけでもう面白そうです。
一方、海外部門は、『ヨルガオ殺人事件』のアンソニー・ホロヴィッツ氏。同氏はなんと4連覇。これは史上初の快挙だそうです。ホロヴィッツ氏の作品はとにかく読みやすく、ミステリーマニア以外も虜にするとか。ホロヴィッツ氏は、『名探偵ポワロ』や『バーナビー警部』などテレビドラマの脚本を執筆し、現在は『007』の公式小説も手掛けています。
国内、海外とも誰もが認める実力者の作品。読んで外れはなさそうですね。
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source : 週刊文春