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ワクチン企業創業者が宮沢りえ主演映画を作った理由

「週刊文春」編集部
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白洲の妻、白洲正子を演じた宮沢りえ
白洲の妻、白洲正子を演じた宮沢りえ

「大阪産は日本人にあったワクチンを目指したい」

 吉村洋文大阪府知事がそう期待を寄せる新型コロナワクチンを開発中なのが、バイオ製薬企業「アンジェス」(大阪府)。その創業者が“製作総指揮”を務めた映画が公開されるという。

◆ ◆ ◆

「アンジェスが進める開発には20億円の国費が投じられています。厚労省はワクチン開発推進のため100億円の予算を組み、日本医療研究開発機構(AMED)が支援対象の研究を公募。採択された9件のうち、アンジェスへの支出が最高額でした」(厚労省担当記者)

 アンジェスを1999年に創業したのが、大阪大学大学院寄附講座教授の森下竜一氏である。安倍晋三前首相とは“お友達”だ。

森下教授
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「第二次安倍政権発足後、『規制改革推進会議』委員、『健康・医療戦略推進本部』参与に抜擢。ゴルフ仲間でもあり、専門誌で安倍氏との2ショット写真を披露したことも」(官邸担当記者)

クレジットに名前はないが…

 そんな森下氏が作った映画「日本独立」が12月18日に公開される。敗戦直後、憲法改正を進めようとするGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)と交渉した実業家の白洲次郎らを描いた作品だ。主人公の白洲夫妻を浅野忠信と宮沢りえが演じ、小林薫や柄本明らが脇を固める。

白洲を演じた浅野忠信 ©文藝春秋

 映画関係者が打ち明ける。

「映画のクレジットに森下氏の名は出てきませんが、ゼネラルプロデューサーの『森千里』が、実は森下氏で、出資者を募っていた。昨年2月にクランクインし、大阪府庁舎や神戸市などで撮影しました」

「日本独立」公式サイトより

 本作で脚本を手掛け、監督を務めたのは伊藤俊也氏。東条英機を主人公に東京裁判を描いた映画「プライド 運命の瞬間」(98年公開)を監督してから、憲法の成立に関わる映画を作りたいとシナリオを温めていたという。伊藤監督に聞いた。

「旧知のプロデューサーが森下さんを連れてきて、現場にもお見えになった。宮沢さんも浅野さんも台本を読んで『そんな事実があったとは』と驚いていました」

 森下氏に聞くと映画については「ご回答は控えます」と言うのみだが、ワクチン開発にはこうコメントする。

「安倍前首相・菅首相とこの件でお話ししたことは一切ありません。吉村知事からも最近は問い合わせはありません。安全性の高いワクチン開発は重要です」

「日本独立」公式サイトより

 前出の映画関係者が話す。

「映画の企画がスタートしたのは、安倍政権が憲法改正を目指していた頃。日本国憲法はGHQによる押しつけ憲法だという内容の映画で世論を喚起しようと森下氏は考えたのでしょう。ところが映画が完成しても上映館がなかなか決まらず、結局いま決まっているのは都内の一館のみです」

 ワクチン同様、映画作りも難しいようである。

source : 週刊文春 2020年12月3日号

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