最も印象に残った場面を尋ねた小誌読者アンケートでは、るいが安子に「I hate you」と告げるシーンが第1位に。では、作品を手掛けたチーフ演出の安達もじり氏はどの場面をあげるのか。安子編、るい編、ひなた編からそれぞれをセレクトしてもらった。
忘れられない場面ばかりであえて挙げるなら、安子編は、上白石萌音さんの最後の登場回となった38回のラストシーン。雨が降る川原で、安子がロバートに「アメリカへ連れて行って」と言う場面です。
安子編は後半に特にしんどい局面が続き、それを上白石さんが見事に演じ切って下さいました。そんな局面の中でも、ピークと言える、一番しんどいシーンでした。
「ほんとに安子、よく頑張った!!」という気持ちも含めて、色んな感情が入り乱れ、撮っている時から涙なしには見られないシーンとなりました。
るい編は海まで錠一郎を追いかけていくシーンのある59回。錠一郎が宿泊する宿を訪ねるも、彼にかたくなに拒否され、クリーニング店に戻って来たるいが、和子(クリーニング店の奥さん)に思いを吐露するシーンです。
最初は、もちろんるいの表情も撮っていたのですが、最後に撮ったるいの背中のカットがあまりにも美しく、編集ではほぼその1カットで見せることに。
るいが抱えてきたものをすべて背中で表現しきる、深津絵里さんの凄さに圧倒されました。
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source : 週刊文春 2022年4月14日号