ウクライナ政府軍の行軍や、首都キーウに築かれたバリケードの写真――。自身のインスタグラムに連日、緊迫した現場の写真を載せるのは戦場カメラマンの渡部陽一氏(49)。ところで彼はいま、どこにいるのか。
明治学院大の学生の頃に戦場カメラマンを志し、これまでコソボやチェチェン紛争、イラク戦争など約130の国と地域の戦場を取材してきたという渡部氏。2004年にイラクで同じホテルに滞在していたジャーナリスト仲間が語る。
「彼は横浜で日雇いのバナナの荷降ろしなどをして資金を稼ぎ、現場に来ていたが、とにかく貧乏だった。多くの報道関係者が2人以上のチームで来る中、いつも一人。食費や滞在費が足りず、周囲に助けてもらっていた」
転機が訪れたのは09年。
「様々な職業の舞台裏を紹介するTBSの特番に出演し、スローすぎる語り口とベレー帽、ひげ面の人懐っこい笑顔でたちまち注目を集めました」(芸能記者)
10年には「笑っていいとも!増刊号」(フジ系)のレギュラーになるなど、バラエティ番組でひっぱりだこに。渡部氏の知人が語る。
「当時、彼は『お笑い番組に出たら戦場に戻れなくなるんじゃないか』と悩んでいたが、取材資金を稼ぐための手段と割り切り、仕事を請けていた」
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source : 週刊文春 2022年5月5・12日号