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ALSOK「幹部のタカリ」「監視カメラ無断撤去」を実名告発

「週刊文春」編集部
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ALSOKの青山幸恭社長
ALSOKの青山幸恭社長

「業界最大手から業務委託の話をいただけるなんて夢のようでした。しかし、契約を餌にひどい仕打ちを受けたのです。これが日本を代表する警備会社のやることでしょうか」

 京都で運送業などを営む岩本将健社長は、そう憤る。怒りの矛先は、ALSOK(綜合警備保障)だ。

◆ ◆ ◆

 ALSOKといえば、東京五輪のオフィシャルパートナーであり、セコムなどと共に五輪の警備を担う業界最大手の一角である。

 岩本氏は倉庫を貸していた関係で、ALSOK社員から「うちの現金輸送の仕事をせえへんか」と業務委託の相談をされたという。

「そこでまずALSOK仕様の輸送車を用意するため、指定された金庫屋に依頼し、現金輸送車3台を調達しました。それから、新たに事務所も借りて、警察OBらも雇用。社員教育を行うなど、多額の資金を投じて準備を進めてきました」(同前)

 そんな中、ALSOK本社の幹部や社員から、関係会社の社長や幹部まで20人以上が、岩本氏の経営する会社にタカリ始めたというのだ。

 記者の手元に、岩本氏がまとめたリストがある。日付順に接待者などが列挙されており、女性のいるラウンジや寿司屋など、約2年間で300万円以上も接待したことが記されている。

「これは領収書がある分だけで、他にも支払っています。また、うちの金でオーダーメイドのスーツ、ワイシャツを何枚も作った課長もいます。『金を貸してくれ』と頼まれたことも」(同前)

指定業者がつくった現金輸送車
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 接待した社員はこう話す。

「先方から『今、この店で飲んでる』と電話があり、支払いをさせられることが、よくありました。ある日、ALSOKの課長と食事をし、2次会でラウンジに行ったときのこと。課長が『オジキ、例の会社と飲んでるんで、来てください』などと電話をかけ、支社長ら2名が店に現れました。酒に酔った課長は、ネクタイを頭に巻き裸になってドンチャン騒ぎ。もちろん支払いは全てうち。幹部のために近くのホテルを用意し宿泊費も払いました。課長は酒癖が悪く、殴られて、あざができたこともありました」

 こうした振舞いに耐えながらも、岩本氏は2017年2月、ALSOK本社で念願の「業務委託基本契約書」を締結したのだった。

 ところが――。ALSOKから突然、「この話はなかったことにしてほしい」と契約を解除されたという。

「理由を聞いても『上が決めた』の一点張りで、今もわかりません。接待費を含め、つぎこんだ額は8000万円以上。双方弁護士を入れて話し合ったが、平行線のままです」(前出・岩本氏)

 さらにALSOKは、驚くべき行動に出たのだ。

「新たに借りた事務所に、ALSOKの機械警備システムを入れる契約をしていたのですが、預けていた合鍵を使って勝手に事務所に忍び込み、機器を無断で撤去したのです。カメラはうちが買い取ったものですから『泥棒ではないか』と抗議をしました。その後、ALSOKが警備契約の解約同意書を偽造していたことまで発覚し、支社長らは平謝りしました」(同前)

 その際、ALSOKが岩本氏の会社に渡したお詫びの文書が、次の写真だ。

ALSOKが渡したお詫び状

ALSOKが渡したお詫び状

 ALSOK広報部は取材に対し書面でこう回答した。

「当社に一部不手際があったため、相手方が被った損害について賠償することで了解し、双方で弁護士を立ててその額について交渉を重ねてきたところ、最近になって相手方が自分の弁護士を解任したため、現在、具体的な交渉は中断しております」

 前出の岩本氏は、「もう話し合いにならないため、いったん弁護士を解任しました。今後は法的措置を検討しています」と話す。

 こんな幹部が多い警備会社にセキュリティを「まかせて安心」とは言えない。

source : 週刊文春 2020年1月23日号

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