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早稲田がひた隠す スポーツ教育のドンのパワハラ報告書

「週刊文春」編集部
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説明責任が問われる早大
説明責任が問われる早大

〈優越的な関係に基づき、業務の適正な範囲を超えて行われた就業環境を害する行為として、パワーハラスメントに該当する〉

 昨年10月末に早稲田大学スポーツ科学学術院教授の職を辞した友添秀則氏(64)。退職理由は「自己都合」とされたが、調査委員会が作成した報告書には執拗なパワハラの実態が――。

 友添氏は2000年に早大教授に就任し、スポーツ科学学術院長や理事を歴任。スポーツ庁スポーツ審議会の会長代理、日本スポーツ教育学会や日本体育科教育学会の会長も務めている。

「スポーツ教育学・倫理学の第一人者で、スポーツ界で暴力事件やパワハラ問題が起きると、メディアに登場して指導者の倫理や組織のガバナンスの重要性を説いていた」(全国紙記者)

“スポーツ教育・倫理”の権威の友添氏
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 ところが……、

「一昨年末、匿名の内部告発で友添氏自身のパワハラが発覚。査問委員会で処分が検討されている中、決定の前に退職して逃げ出したのです」(早大関係者)

 友添氏は退職直前の10月18日、公益財団法人日本学校体育研究連合会の会長に就任。後にJOC常務理事は退任したが、他の役職には留まり続けている。

「大学側は教授会からの説明要求を拒否し、被害者にも報告書を開示していない。対外的にもパワハラの事実を公表せず、ひた隠しにしているため、友添氏は事実上お咎めなし。依然、スポーツ教育の“ドン”として君臨している」(同前)

 だが、公表されていない早大の調査報告書では、同氏のパワハラがはっきりと認定されていたのだ。

 被害者は同学術院に所属する若手教員A氏とB氏。最も強く非難されているのは2人への“退職強要”だ。

 19年10月2日、友添氏は別の大学の非常勤講師を兼任していたA氏に対し、「自分の力で、どこか就職を探して、就職していけよ」「もう1年もこんな関係で、無理だぜ」と言い放った。その翌月には、あと1年任期があるB氏に「お前、今年で辞めんのか」「もうつなげない。3月で辞めるんだから」などと発言。報告書はこう糾弾する。

〈Aを本学から排除し、現に就任しているF大学非常勤講師の職をも辞すよう強いるもので、非常に悪質といわなければならない。また、Bに対する行為も、その地位に不安を抱かせるもので、悪質である〉

 さらに休日の深夜11時過ぎに送ったメールの返信が遅いことを「無礼だ」と叱責したり、「俺は分単位で動いているんだよ。そういうときは、生協で昼食買っておくんだ」と身の回りの世話も要求。計9件のパワハラを詳細に列挙した報告書は、こう結ばれている。

〈これらの行為は、ハラスメントと認められる行為により、(中略)教員の表彰および懲戒に関する規程第5条第1項第6号に該当する〉

 早大は次のように回答。

本誌が入手した調査報告書

「調査報告書につきましては、その存在の有無も含めて学外秘ですので、回答を控えさせていただきます。友添元教授につきましては、退職すなわち失職を上回る懲戒処分を下す事由を、大学は入手しておりません」

 友添氏が会長を務める公益財団法人を通じて同氏に事実関係を尋ねたが、「個人のプライバシー」を理由に回答しなかった。

 日本体操協会のパワハラ騒動の際、〈被害者が『そうだ』と言えばパワハラに該当するのが基本的な考え方〉(読売新聞18年12月11日)と語った友添氏。自身の報告書についても、コメントをお願いしたい。

source : 週刊文春 2021年3月4日号

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