侮辱演出案は組織委員会の抱える問題の一端に過ぎない。渡辺直美も絶賛する女性演出家MIKIKO氏を排除し、入社同期を責任者に据えた電通ナンバー2。会長だった森氏すらバカにする男が仕切る「電通五輪」の闇とは――。
ここに、ある女性が悲痛な訴えを記した、1通のメールがある。
〈去年の6月に執行責任を任命され、全ての責任を負う覚悟でやってきました。どんな理不尽なことがあっても、言い訳をしないでやってきました。/それを一番近くで見てきたみなさんはどのような気持ちでこの進め方をされているのでしょうか?/コロナで世界がこの様な状況になって、やっぱり一番大切にしないといけないのは信頼関係だと信じて止みません。
本当は、このままフェードアウトするのが平和なやり方なのかな?とも悩みました。/でも、またこのやり方を繰り返していることの怖さを私は訴えていかないと本当に日本は終わってしまうと思い、書きました〉
昨年10月16日付のメールの差出人は、演出振付家のMIKIKO氏(43)。2019年6月から昨年5月まで、東京五輪開閉会式の演出を指揮する「執行責任者」を務めていた人物だ。
しかし五輪の1年延期を機に突如として、責任者は電通出身のCMクリエイター、佐々木宏氏(66)に代えられ、MIKIKO氏は蚊帳の外に置かれていく。
開会式の演出案はどうなるのか、自らが率いていた約500人のスタッフやキャストたちの処遇は……MIKIKO氏には気掛かりなことが山積していた。ストレスで体調も悪化していく中、佐々木氏や、それまで手を携えてきた電通の担当者らからの連絡は滞ったまま。苦悩を深めたMIKIKO氏は意を決し、電通幹部や関連会社の五輪担当者ら10名に、これまでの経緯や正直な想いを綴ったメールを送信したのだった。
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source : 週刊文春 2021年4月1日号