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息子連れ去りを告発 橋本八段が「今、引退する理由」

「週刊文春」編集部
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YouTubeで告発を続ける橋本八段
YouTubeで告発を続ける橋本八段

「令和3年3月31日をもって、20年続けてきたプロ棋士を引退する運びとなりました」

 4月2日、自身のYouTubeで“電撃引退”を発表したのは将棋棋士の橋本崇載(たかのり)八段(38)である。

 ハッシーの愛称で親しまれ、テレビ対局に和服に金髪で登場したり、対局中にカメラ目線を送るなど“将棋界の異端児”だった橋本。新宿や池袋で将棋を指せるバーを経営し、ファンサービスや普及にも努めていた。

橋本八段(将棋連盟HPより)
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 本業の将棋では10代の頃から将来を嘱望され、名人挑戦に繋がる順位戦で最高クラスのA級にも在籍した経験がある。兄弟子の松本佳介六段が振り返る。

「彼が小学生の時に初めて会いましたが、その頃から強かった。この子は間違いなくプロになるな、と思ったことを憶えています」

 まだ30代と若い棋士の引退は異例中の異例。親しい棋士はこう惜しむ。

「引退してしまうと、二度と現役に復帰できません。順位戦でB級2組の橋本さんには『休場』という手段もあった。対局しなくても、規定により引退となるまで最長16年、プロ棋士を続けることができたのに……」

 橋本は重い決断をした理由として、YouTubeやツイッターで「妻との離婚トラブルと、子供の連れ去りがあった」と明かしている。

 2019年3月に橋本は長男を授かった。同年7月7日には妻の誕生日を祝い、翌日に対局用のアパートに移動。18日に帰宅すると、妻が子供を連れて姿を消していた。その後、妻の弁護士から慰謝料請求の連絡があり、離婚調停を行うも不調に終わったという。

 息子と引き離された橋本は、心身の調子を崩していった。観戦記者が語る。

「実はコロナが本格化した昨年春の緊急事態宣言中に、知人の将棋関係者と夜の繁華街で飲酒した上、暴力トラブルを起こしてしまったんです。連盟からは厳重注意されたと聞いています」

 昨年秋には対局の朝に吐き気やめまい、体温調節ができない症状が出始め、90キロだった体重は70キロ台にまで減少した。

「橋本さんは将棋連盟に『心身疾患と躁鬱』という医師の診断書を提出。10月から今年3月末までの休場が発表されました」(同前)

 以前、橋本と研究会仲間だった棋士が言う。

「精神的に何か問題を抱えているのでは、という噂は聞いていました。しかし、仲の良い後輩も、この数年は交流が途絶えていました」

 事態が動いたのは今年の1月5日。将棋連盟に裁判所から養育費を支払うための「債権差押命令」が届いたのだ。書面には第三債務者として佐藤康光・将棋連盟会長の名前もあった。

佐藤康光会長も心配している

 連盟関係者が振り返る。

「突然の出来事に棋士たちはみんな驚きました。結婚や出産、引っ越しした場合、連盟に届け出る必要があるのですが、彼は結婚したことさえ未届けだったんです」

 この一件が、今のタイミングで引退を決める引き金となったようだ。橋本はYouTubeでこう明かす。

「すぐに佐藤会長に電話をして謝罪しました。これをされると(連盟に)居場所がなくなる。(事態が公になり)大恥かかされてる訳ですから」

 連盟執行部は最後まで慰留したが、意志は固かったという。前出の記者が語る。

「もともと正義感が強く、頑固な性格。ただ、休場ではなく引退を決めたのは短絡的すぎる。大人の判断ができなくなっているようで心配です。トラブルが明らかになったことで、ますます内側に引きこもるようになってしまった」

 今後は子供を取り戻すと共に、連れ去りの違法性を訴える活動を続けると言う橋本。自ら作った“穴熊囲い”から抜け出してほしい。

source : 週刊文春 2021年4月15日号

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