「覇権主義に対しても、香港や新疆ウイグルの人権侵害に対しても、国際法を土台にした批判が、日本政府には見られません」
菅政権の対中弱腰を批判するのは共産党の志位和夫委員長(66)。「文藝春秋」5月号にインタビューが掲載されると、SNS上では「保守系の文藝春秋で!?」「珍事」との声が上がった。
志位氏は意気軒昂だが、党そのものは、あちこちで「共産アレルギー」に悩む。11日に告示された名古屋市長選。共産は、4選を目指す河村たかし市長に対抗する元自民市議の支援を表明。「河村氏の当選阻止」を名目に異例のタッグを目論んだが、元市議側から「共産が前面に出ると支持者から怒られる」と距離を置かれた。
自民の敬遠は当然と言えば当然だが、野党からも厄介者扱いされている。参院長野補選では、地元の共産と立憲民主党の候補が結んだ政策協定を国民民主党の玉木雄一郎代表が疑問視し、立憲候補の推薦を一度撤回。最終的には推薦したが、立憲の枝野幸男代表は一連の騒動について共産を嫌う連合幹部に平謝りした。参院広島選挙区の再選挙でも、共産は連合が支援する立憲候補を推薦できず、支援に止めざるを得なかった。
「共産の苦境の背景には、野党共闘の旗振り役だった小沢一郎氏の存在感の低下がある」(政治部デスク)
小沢氏と志位氏はここ数年で急接近。小沢氏は自由党代表だった2017年には共産党大会に出席し、「野党がもっと緊密な協力関係を構築し、政権交代を実現しようではないか」と強調。割れんばかりの拍手が起こった。志位氏も周囲に「党員は小沢さんに心酔している。すごいんだよ」と洩らし、最近もサシで面会している。共産にとって自民党幹事長だった小沢氏は倒すべき敵であり、小沢氏が著書「日本改造計画」で示した新自由主義路線を嫌悪していたが、その後、自民政権を二度も倒したレジェンドになった。「共産党員は『自分たちは正しいことは言っても、所詮世の中で爪はじきにされる日陰者』との思いがある。かつて政権中枢にいた小沢氏から認められるのは党員にとっては誇り。志位氏も同じだ」(永田町関係者)。
小沢氏は国民民主に在籍していた際、立憲との合流に汗をかき、存在感を示した。新立憲での「小沢幹事長」を望む声もあったが、結局は一兵卒に。次の政界再編の動きもなく、“剛腕”小沢氏の出番はない。小沢氏に連動して共産は厄介者に逆戻りしてしまった。公明党はいくら踏まれてもついてくる「下駄の雪」と評されて久しいが、共産党は雪にすらなれないのが現状だ。
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source : 週刊文春 2021年4月22日号