島根大「白い巨塔」事件 腎臓医療の名医が退職、他の医師も一斉退職へ 背後に異例の教授選

再公募が繰り返され、まさかの落選

「週刊文春」編集部

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「あの先生がいなくなったら、島根の腎臓医療はどうなってしまうのか……」

 

 そう危機感を抱くのは、島根県の腎臓内科医・A医師だ。

島根大学医学部附属病院

 老廃物を排出し、尿を作る腎臓。その疾患である腎炎や糖尿病性腎症、ネフローゼ症候群、腎硬化症などを扱うのが腎臓内科だ。近年は慢性腎臓病の患者数が年々増加傾向にあり、今では20歳以上の8人に1人がかかる新たな国民病となっている。放置すると末期腎不全になり、人工透析や腎移植が必要になることもある。

「島根県も高齢化が進むにつれて、透析患者も増えています。実は20年ほど前までは県内に腎臓専門医は国内ワーストの9人しかいなかった。そんな状態から、1人の指導医が腎臓診療を進めて後進を育成。今年5月現在、島根県内の腎臓専門医は27人まで増えました。今の県内の腎臓専門医はほとんどがその先生の教え子なんです」(A医師)

 全国的に有名な医師の名は伊藤孝史氏(54)。1992年に広島大学医学部を卒業後、2005年に島根大病院に講師として着任した。日本腎臓学会の幹事を務め、島根大病院では准教授として「ワーキング・イノベーションセンター」センター長も務めている。

伊藤孝史医師(島根大学地域医療学講座HPより)

「現在、島根大病院の腎臓内科には、伊藤医師を含めて7人の医師が所属しています。役職は、伊藤先生が『診療教授』で、2人が助教、ほかの4人は医科医員。正規の教授職はいませんでした」(同前)

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source : 週刊文春 電子版オリジナル

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