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「三田さんもやっている」フジ女子アナ7人が“美容室ステマ”

アナウンス部長が“隠蔽工作”

「週刊文春」編集部
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三田アナは直撃に……
三田アナは直撃に……

湾岸のテレビ局に響き渡る怒号。“事件”は美容室で起きていた――。女子アナたちが軽い気持ちで受けた“特別待遇”。だがそれは、就業規則に抵触し、社会通念上許されぬ行為だった。焦った部長は火消しに走るが……。放送人としての自覚が問われる内幕スクープ。

「フジテレビの社員としてアウトだ! 週刊誌に漏れたら大変なことになるぞ!!」

 3月下旬、フジテレビアナウンス室の会議室に怒号が鳴り響いた。声の主はアナウンス室のナンバー2、野島卓(たかし)部長(54)。会議室には何人もの女性アナウンサーたちが呼び出され、青ざめた表情で退出していく。

野島卓アナウンス室部長
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 彼女たちは一体、何をしてしまったのか――。

“事件”が発覚したきっかけは、広報部に来た1本の取材申請だったという。

「ある週刊誌が女子アナ記事を作るにあたり、井上清華(せいか)アナ(25)の足の指がネイルサロンのサイトで公開されている事実について問い合わせて来た。そこで広報部が『まさか宣伝に加担しているのでは?』と“キナ臭さ”を察知。アナウンス室に調査するよう求めたのです」(フジ関係者)

井上アナ(店のインスタより)

 野島部長は井上を呼び出して詰問。そこからアナウンス室の“パンドラの箱”が開いていく。

「井上は通っている美容室とその系列店で、店のインスタグラムに写真を掲載する代わりに、料金をタダにしてもらっていたことを白状したのです」(同前)

 井上にとっては時期も最悪だった。3月末から「めざましテレビ」のMCに抜擢されたばかりだったのだ。

 そこで井上は、こう主張したという。

「自分だけではありません」

 野島部長が事情聴取を開始すると、芋づる式に女子アナの名前が挙がっていった。「プライムオンラインTODAY」のMC・宮澤智アナ(31)、「めざましどようび」などの報道番組を担当する久慈暁子アナ(26)、「めざまし8」などのMC・堤礼実アナ(27)。さらに三上真奈アナ(32)、杉原千尋アナ(25)、海老原優香アナ(27)の6人だ。

宮澤アナ(店のインスタより)
久慈が通うジムのインスタ
三上アナ(店のインスタより)
杉原アナ(店のインスタより)

「井上同様、お互い“密告”しあう形になり、どんどんメンバーが増えていきました」(前出・フジ関係者)

 この7人の女子アナたちには、ある共通点があった。

「彼女らが通っていたのは、渋谷区を中心に展開される芸能人御用達の人気美容室A(仮名)。ヘアカットだけでなく、系列店でもネイルやマツエクなどの施術を無料で提供してもらっていた。その見返りとして、店の看板の前で撮影するなどして、来店したことをインスタグラムなどのSNSで公開。店の広告塔として宣伝に一役買う“ステマ”行為をしていたのです」(同前)

 小誌が確認できただけで、井上は2019年11月から1年半の間に5回、宮澤は19年の2月から2年の間に4回、店のインスタに写真が掲載されていた。

 さらに自身の公式インスタで髪型を変えたことなどを配信し、その投稿を店側に引用させる“リポスト”という手口を使う例も。これは、万が一バレた場合、「店側が勝手にやった」と言い訳ができる手法として彼女らに浸透していた。19年の2月に投稿された堤、20年の10月に投稿された三上、杉原、井上の写真がそれに該当する。

 しかしなぜ、7人もの女子アナが同じ美容室に足しげく通うことになったのか。その背景には木下康太郎アナ(35)の存在があった。

「木下は『三代目J SOUL BROTHERS』のメンバーと親しく、女子アナを餌に幾度となく合コンを主催していた。三代目メンバーと美容室Aの代表が懇意にしていた流れで女子アナを店に斡旋したのです。彼も部長に呼ばれ、叱責されたそうです」(アナウンス室関係者)

 3年以上前から通っていた女子アナもいるという美容室Aは、正規の値段が2万〜3万円ほど。1回2万円の施術だとして、月に一度でも7人で月に14万円、年間にして160万円以上になる。これにネイルなども追加されると、7人で数百万円に及ぶサービスを受けていたことになる。

「何でこんなことで?」

「野島部長は彼女たちに『いつ、何回行った? 単価はいくらか? 総額いくらか?』と問い詰め、内容を書面で提出するよう求めました。ただ、みんな大学生の頃からチヤホヤされていたので、昔からタダが当たり前。『何でこんなことで?』と反省の色は無く、口々に『友達だから断れなくて』『無断で載せられた』などと言い訳している」(同前)

 さらに久慈は最近、別のジムのインスタにも登場するようになっている。

「当初、金額を聞いて断念したそうですが、無料と聞いて飛びついたんだそうです」(久慈の知人)

 だが、この7人の女子アナたちにも言い分があった。井上をはじめとし、口々にこう釈明したという。

「先輩の三田さんもやっているから大丈夫だと思った」

「三田さんだけ怒られないのはおかしい!」

 三田さんとは、フジの夜のニュース番組「LiveNewsα」および、日曜夜の報道番組「Mr.サンデー」のMCを務める三田友梨佳アナ(33)のことだ。

報道キャスターを務める三田

 三田が通う美容室は件のAではなく、父親も通う三田家御用達の美容室Bと、司会の宮根誠司が用意した「Mr.サンデー」のヘアメイクが在籍する美容室Cだ。

 確かに、後輩女子アナが指摘するように、三田は、20年9月18日から3回、美容室Bのインスタに登場。美容室Cに至っては、インスタで写真掲載はもちろんのこと、まるでシャンプーのCMのように笑顔で髪をかき上げ、くるりと回る動画まで配信している。

三田が通う美容院のインスタより

 三田は周囲にこう弁明しているという。

「自分はお金を払わなくていい理由がある。番組で宮根さんがつけてくれるヘアメイクさんのところだから」

 だが、前出のアナウンス室関係者はこう語る。

「そもそも局アナは、局が用意したヘアメイクにセットしてもらうのが通常で、三田さんだけ特別待遇なのはおかしい。彼女も野島部長に呼ばれましたが、おとがめなしだったのです」

 事件の全容を把握した野島部長は4月初旬、該当する女子アナたちに一通のメールを送っている。

「内容は、店側に彼女たちのインスタの写真を削除するようにお願いし、その代わりにギフトカードを渡したいというものでした。これまで無料で受けたサービスに対する支払いも申し出たが、店側に断られたと。それで社内協議の結果、申し出た回数に応じたお金を出してもらい、10万円のギフトカードを購入して渡すことにして、該当者に早く持ってくるように命じています」(別のフジ関係者)

 なんと野島部長は事件の“隠蔽工作”に動き始めたのだ。さらにこんな内容も。

「社員就業規則や社会通念上、許されるものではないと認めた上で、話が広まらないように急いで“火消し”をしているので、決して他部署に口外しないようにと通達している。実際、このメールから数日後、野島さんは美容室Aを訪れており、周りに『解決した』と話していたそうです」(同前)

 では、美容室Aの代表に話を聞こう。彼は一連の顛末についてこう明かした。

「それが今の時代っちゃ時代じゃないですか。SNS時代にお店に来たら、そういう宣伝をこっちもさせてもらったりとか。全部無料で施術したわけではないので、“特別価格”っていう金額の書き方にしてもらえたら嬉しいんですけど」

 野島部長が店に来て、正規の料金を払わせて欲しいと申し出たかと聞くと、

「わざわざお店に来ていただいて、(お金を返すと)言ってきたんですけど、こっちも写真を上げさせていただいたりとかしてますし、僕はそんなの受け取れないですって。口止め料でもなんでもなく、お金が欲しくてやったわけじゃないですから。お互い“ウィンウィン”でやらせていただいてたんで」と答えた。

 では、今回の件はどこが問題となるのか。そもそもステマとは、「消費者に宣伝と気づかれないようにされる宣伝行為」のこと。例えばグルメサイトで第三者を装い、自分の店に高評価の書き込みをすることや、芸能人などに報酬を支払い、SNS等で商品やサービスを推奨してもらいながら、広告であることを隠しているケースなどが挙げられる。

 大々的な問題になったのは12年の「ペニーオークション詐欺」だ。高額にならないと落札できない仕組みなのに、複数の芸能人が低額で落札したことをブログに投稿。入札者から手数料を取りながら、芸能人に謝礼を支払っていたことが判明し、タレントの小森純やほしのあきは謝罪。その後、芸能界から姿を消した。

直撃後に消えた三田の写真

 鮫島法律事務所の鮫島千尋弁護士はこう指摘する。

「仮に、女性アナウンサーたちが無料や特別価格でサービスを提供された対価として店側のSNSに登場していたのであれば、それは広告と明示しない形の広告、いわゆるステマに該当する可能性があるでしょう。今回のようなステマが横行してしまうと、無関係の善意の投稿までもがステマと疑われたりして、広告業界全体への波及的な悪影響も生じかねません」

 4月11日の夕方、出勤のため自宅マンションを出てきた三田を直撃した。

――アナウンス室で起きたステマ問題に心当たりは?

「ごめんなさい。私聞いてないです」

――野島部長に三田さんも呼ばれている。

「それは、ちょうど面接がある時期なので」

――三田さんも美容室に無料で通われていて広告塔になっていると、後輩たちが報告している。

「Bという美容室に中学生のころから通っていて、広告塔になってるとかは……」

――宮根さんから紹介された「C」にも。

「あ、はい! お世話になっています。えーと、そちらは1年に1、2回」

――三田さんは、ステマとかサクラのようなことは。

「私は意図的に何か行なった意識はないんですけど、もし周りからそういう風に見えてしまっていたことがあったのでしたら、う〜ん、本当に申し訳ないです」

 深々とお辞儀をしながら、足早に駅に向かった三田。直撃後、「C」のHPから彼女の写真は削除された。

 同日、仕事を終えて帰宅する久慈にも話を聞いた。

――美容室Aには。

「私は1回だけしか行ってない……」

――ジムのほうにも無料で行っている。

「……(小さく肯く)」

――三田さんがやっているのに、自分たちだけ怒られるのは納得がいかない。

「……(じっと見つめる)」

――言えないでしょうけど。

「はい(笑)」

 翌日、野島部長に電話で直撃。ステマ問題の詳細を説明し、火消しに奔走しているかを聞くと、沈黙の末、声を振り絞るように言った。

「一個人の意見は言えません。広報を通してください」

 フジテレビ広報に問い合わせると、こう回答した。

「事実関係の詳細については現在確認中ですが、いわゆるステルスマーケティングに該当する行為はないと考えております。また、美容室等に対して、本件についての口止めを依頼した事実はございません。就業規則に抵触する行為が判明した場合には、適切に対処して参りたいと考えています」

 タダより高いものはない。その事実を女子アナたちは体験取材したことになった。

source : 週刊文春 2021年4月22日号

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