「今が新型コロナウイルスが日本に上陸してから最大の危機」。西浦教授はそう語気を強める。変異株の拡大は止まらず、ワクチン接種は遅々として進まない。ならば五輪の再延期を――。西浦教授の直言とは裏腹に、今夏開催に拘泥する菅政権の狙いを露わにする!
4月13日午前9時過ぎ、万博記念公園(大阪府吹田市)で第一走者の歌舞伎役者・片岡愛之助がトーチを片手に走り出した。公園に一般の観客は入れず、観覧できるのはランナー1人につき家族4人まで。
まん延防止等重点措置(以下、重点措置)が大阪府に適用され、公道での実施は中止。聖火リレーは異例の形式で決行された。
だが、公園の外では、これまでにない非常事態が起きている。同日、大阪府の新型コロナウイルスの新規感染者数が過去最多の1000人を記録したのだ。
ワクチン接種が遅々として進まない中、アクセルとブレーキを同時に踏むような政策。大阪の光景は、それを象徴していた。
「大方の国民へのワクチン接種が1年後にできているのなら、東京五輪も1年『再延期』するのが、有効な選択肢ではないでしょうか」
こう語るのは、京都大学大学院医学研究科・西浦博教授(43)。数理モデルを駆使した感染データの分析が専門で、“8割おじさん”として知られる。厚労省感染症対策アドバイザリーボードの一員でもある。
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source : 週刊文春 2021年4月22日号