週刊文春 電子版

コロナワクチン接種翌日の死亡はなぜ封印されたのか

「週刊文春」編集部
ニュース 社会 医療
旭川赤十字病院
旭川赤十字病院

「40代の男性が接種の翌日、突然亡くなりました。しかし、この事実は公表されていないのです」

 そう話すのは、北海道旭川市に住む医療関係者だ。

 北海道で医療従事者約16万人を対象とした新型コロナワクチンの優先接種が始まったのは3月5日のこと。同日、旭川市の基幹病院「旭川赤十字病院」にも約3000回分のワクチンが届いた。同院関係者が言う。

「医師や看護師以外の職員にも簡単な問診が行われ、順次接種が始まりました」

 3月19日、46歳の男性事務職員Aさんも接種を受けた。

「接種当日、打った腕に違和感があると訴えていた。翌20日、整形外科を受診し『循環器内科に行った方がいい』と言われ帰宅したのです」(前出・医療関係者)

 そして20日夜。急変して旭川赤十字病院に搬送されるも息を引き取ったのだ。

「特に持病はなかったのに、死因は循環器系の病気と聞き、院内で動揺が広がっています」(前出・病院関係者)

 ワクチンの安全性を懸念する人も少なくない。そこで不安を招かないように、河野太郎ワクチン担当相は「情報はできる限り公表する」との方針を示している。

河野ワクチン担当相
全ての画像を見る(2枚)

 厚労省は接種後に死亡した6人のケースを公表(4月20日時点)。死因は脳出血、急性心不全など様々だが、溺れて亡くなった人も。

「死亡に限らず、接種による副反応がある場合、予防接種法に基づき、医師または医療機関がPMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)に報告しなければなりません。その報告を受け、厚労省の審議会が因果関係の評価を行う。なお同省は死亡した6例について『情報不足等により因果関係が評価できない』としています」(厚労省担当記者)

 ところが――。病院や医師は、Aさんの死亡を報告していないというのだ。

 なぜなのか。

 旭川赤十字病院の牧野憲一院長は事実関係を認めた上で、こう答えた。

牧野院長(ANNニュースのYouTubeより)

「隠しているわけではなく、意図的に報告していないわけでもありません。国の報告基準に合わなかったから、報告しなかったのです」

――死はワクチンの副反応ではないと判断した?

「そういうことになります。多少迷ってはいたんですが、医者がワクチンと因果関係があるとは思えないと判断したら、報告しなくていいのが今のルール。先日くも膜下出血により亡くなった方がいたと報道されたが、私は脳外科医のため、くも膜下出血がどういう原因で起こるのかを考えれば因果関係はないだろうと思っちゃう。全て報告するのがルールなら報告します」

 厚労省のホームページによれば、報告基準は〈アナフィラキシー〉や〈医師が予防接種との関連性が高いと認める症状〉などとされ、症例が細かく決まっているわけではない。同省コロナ本部担当者が説明する。

「この報告制度は、現場の医師が副反応を疑った時点でご報告をいただくシステム。報告をしなければ罰則を設けるなどとすると、逆に報告を牽制してしまう可能性もあり、現在はこのような運用をしています」

 つまり、報告は現場医師の判断に委ねられている。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長はこう指摘する。

「早期に亡くなる方は理由がわからない場合が多く、因果関係は否定できないため全て報告すべきでしょう。たとえば溺死であっても、ワクチンのせいで筋肉や精神に異常がみられた可能性も否定できないからです。今回のケースと同じような例は他院でもあるかもしれません。もしそうであれば、接種への不信感につながりかねないでしょう」

 適切な情報の開示は、不安を抑えることにもなる。

source : 週刊文春 2021年4月29日号

この記事の写真(2枚)

文春リークス
閉じる