今年7月のインターハイで日本一に輝いたバドミントンの名門校で、監督による選手への暴行が度々行われている疑いがあることが、「週刊文春」の取材で分かった。暴行現場の動画を入手した。
その高校とは、長崎県長崎市にある私立瓊浦(けいほ)高校。地元の記者が語る。
「瓊浦は1925年に設立され、まもなく100周年を迎える伝統校。県内屈指の体育館を持ち部活動に力を入れている。昔は春夏連続甲子園に出場したこともある野球の強豪で、阪神などで活躍した下柳剛や、オリックスなどで活躍した本西厚博も卒業生。その後、男子ハンドボール部も全国制覇を成し遂げた。そして近年、特に躍進しているのが男子バドミントン部です」

その強豪バドミントン部を率いるのが、林貴昭監督(49)だ。
「同校OBで高校時代は県内のタイトルをほぼ総ナメ。日体大に進み、バドミントン部主将を務めた名選手で実業団・日本ユニシス時代には日本代表にも選ばれた。1996年のアトランタ五輪では日本代表のリザーブ選手でした。指導者に転身後、長崎の県立高校を率いて16年間で4回も全国ベスト8に進出。2015年から母校の監督を務めています」(同前)

林監督就任後の約7年間で、バドミントン部は全国大会で2位を1回、3位を4回という好実績を残す。そして今夏、四国で開催されたインターハイで悲願の初優勝を遂げたのだ。だが、部関係者が声を潜める。
「林監督による日常的な暴行が行われているのです」
入手した動画に収められていた暴行の瞬間
その証言を裏付けるのが、小誌が入手した動画だ(「週刊文春 電子版」で公開)。そこには、「誠実」「和」「勤勉」という瓊浦の校訓が掲げられた体育館でバドミントンの練習をする2人の男子高校生が映っている。林監督はコートに歩を進めると、突然一方のAくんを激しく蹴り上げていた。前出の部関係者によれば、選手のフォームの確認のためにカメラがコート脇に設置されており、この映像はそこに収められていたもの。撮影時期は今年1月頃だという。

さらにこんな証言もある。
「監督は選手をⅰPadで殴ったり、首を掴んで何度も揺する。それでムチ打ちになった部員もいます。パイプ椅子が投げられることもある」(別の部関係者)
学校側に聞くと、生徒に聞き取りの上、概ねこう回答した。
「A選手に対し、おしり付近、または太もも付近を蹴ったことがあるのは事実です。A選手によると強い蹴りではなく、自分をしっかりさせるための指導であったという認識です」
「週刊文春」の取材直後、林監督は部活動の指導から外れ、校長は「処分などについては今後役員会に諮らねばならず、すぐに決まるものではない」と回答した。
12月14日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」では、Aくんが蹴られている動画に加え、別の生徒が髪を掴まれ、頭を揺さぶられる動画も公開する。また電子版と12月15日(木)発売の「週刊文春」では、別の暴行の詳細なども含めて詳報する。
source : 週刊文春 2022年12月22日号