人生のフィナーレは施設や病院ではなく、慣れ親しんだ自宅で自分らしく迎えたい――。社会学者の上野千鶴子氏が提唱する「在宅ひとり死」を望む高齢者が増えている。では、どのような準備をすれば、実現できるのか。看取りのプロなどの体験をもとに徹底解説。
「渡る世間は鬼ばかり」(TBS系)やNHK連続テレビ小説「おしん」など、数々の名作を世に送り出した脚本家の橋田壽賀子氏(享年95)。著書『安楽死で死なせて下さい』(文春新書)でこう綴っていた。
〈自宅で看取ってくれるお医者さまがいれば、安心して死ねるでしょう。誰だって本当は、自分の家で死にたいのですから〉
その希望通り、4月4日、海を一望する別荘地にある家で、女優の泉ピン子が見守るなか、息を引き取った。
故人の遺志で葬儀や告別式は行われず、両親が眠る愛媛県今治市の墓に納骨された。
橋田氏と親交があり、『なんとめでたいご臨終』の著者で、日本在宅ホスピス協会会長や小笠原内科・岐阜在宅ケアクリニック院長を務める小笠原文雄医師は、こう回想する。
「橋田先生は『安楽死したい』とおっしゃっていましたが、安楽死は殺人行為なので、安楽には死ねません。僕は安楽死のつらさを説明して、在宅ホスピス緩和ケアを利用すれば、ひとり暮らしでも家で安らかに死ぬことはできますよとお伝えした。すると『やっぱり家で死にたいわ』と言っておられました」
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source : 週刊文春 2021年5月6日・13日号