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議員辞職へ 菅原一秀 小誌だけが書ける現金配布リスト

「週刊文春」編集部
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首相とも近かった菅原氏
首相とも近かった菅原氏

「読売新聞は『菅原氏が町内会などに配布した会費は3年間で数十万円』などと報じていましたが、そんなに少ないはずがありません」

 そう語るのは、菅原一秀元経産相(59)の元秘書だ。

 司法担当記者が言う。

「読売が4月23日朝刊で、菅原氏の“有権者買収”に新たな動きが出たことを報じました。選挙区の行事で、『祝儀』などの名目で現金を配っていた疑いが浮上。特捜部が菅原氏を任意聴取したというのです」

 全ての発端は、小誌19年10月24日発売号の報道だった。地元有権者の通夜に出席した公設秘書が、当時経産相だった菅原氏の代理で香典を渡す一部始終を撮影。翌25日、菅原氏は大臣を辞任した。

発売翌日に大臣を辞任
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「その後、菅原氏は選挙区内の寄付行為を禁じた公職選挙法違反の疑いで告発された。ただ、菅原氏の代理人は総務省接待問題の第三者委員会座長も務める吉野弦太弁護士。政府寄りのヤメ検で、当時の森本宏特捜部長とも直接やり取りする関係です。落とし所を探った結果、不起訴処分となった。しかし今年3月、検察審査会が『起訴相当』と議決。特捜部も動かざるを得なくなったのです」(同前)

 今回の捜査対象も地元有権者への現金配布。事務所の元スタッフが明かす。

「新年会や夏祭りに参加した際は、本来決められた会費以上の金額を手渡すことが常でした。金額は、菅原氏にお伺いを立てなければいけなかった。表に出せない支出は、国会事務所のベテラン女性秘書が裏帳簿で処理していました」

 小誌は「地元会費一覧」と題されたA4用紙3枚の“現金配布リスト”を入手。資料を仔細に確認すると、練馬区内では18年1月6日から2月26日の約1カ月半で89件もの新年会などの行事が催され、「会費金額」より「支払金額」が多いケースが目立つ。

 例えば、1月19日の地元料飲組合の会合では会費5000円に対し、支払金額は1万円。1月30日の地元商店街振興組合の会合では会費3000円に対し、支払金額1万円。支払金額の総額は64万6000円に達する。いずれも、政治資金収支報告書には記載がない。

会費より多い支払金額(リストより)

 商店街組合幹部の証言。

「菅原氏は、初当選から新年会に毎年来られています。会費は3000円ですが、菅原さんが支払うのは5000円~1万円。『会費よりも多い金額で大丈夫なのか……』と内心心配していました」

 特捜部は4月以降、商店街などの会計帳簿を複数押収。一方で、内情を知る事務所の関係者を次々に呼び出し、任意聴取を続けている。冒頭の元秘書が4時間に及ぶ事情聴取を受けたのは、4月上旬のことだ。

「検事は行事の会費についてはもちろん『町内会のバス旅行の際、菅原氏や秘書が参加費を持っていくことはなかったか』と熱心に尋ねてきました」(元秘書)

 さらに、特捜部が関心を寄せる新たな疑惑もある。

「19年夏、国会事務所のベテラン女性秘書が地元事務所を訪れ、お中元の配送伝票に住所と名前を書くよう経理担当者とアルバイトの早大雄弁会の学生に指示を出したことがありました。女性秘書が持参してきた100件ほどのお中元リストには議員の他、地元有権者の名前も多く含まれていた。検事は『これを基に菅原に突っ込める』と語っていました」(事務所関係者)

 果たして菅原氏は特捜部の再捜査をどう受け止めているのか。4月25日、本人を携帯で直撃した。

――選挙区内の行事で現金を配布していた?

「会費を支払っていたということです。現金をばら撒いて歩いていたということではないですから(笑)」

――規定の会費以上のお金を渡したことは?

「それについては今、捜査対象となっていますので。後は紙で質問を下さい」

選挙区内で香典を渡していた

 改めて菅原事務所に事実確認を求めたが、

「再捜査がされている中ですので、回答は差し控えます」

 社会部デスクの解説。

「菅原氏はGW明けに略式起訴され、罰金刑が下される見通し。そうなれば5年間の公民権停止となり、議員辞職することになります」

 選挙区に築き上げたのは、砂上の楼閣だった。

 

source : 週刊文春 2021年5月6日・13日号

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