ヤメ銀 絶滅時代のバンカーたちへ 連載第6回「銀行は変化を受け止めているか」

秋場 大輔
ニュース 社会 経済 企業 働き方

 世間が狭くないか。変化を恐れていないか。肩書ばかり見ていないか――。銀行員の悪癖を示してきた本連載。だが新たな銀行像を描くバンカーもいる。異業種参入時代に保守思考では生き残れないのだ。

 

(あきばだいすけ 1966年、東京都生まれ。ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。電機、証券、電力、商社、ゼネコンなど各業界を取材。編集委員などを経て2017年に独立。近著に『ライフシフト 10の成功例に学ぶ第2の人生』がある。)

「僕らの世代が一番損しているんじゃないですかね。銀行で『これからはデジタル人材だ』と言われる。専門性を持ったプロフェッショナルが必要という話ですよ。でも僕らはジェネラリストとして入った人ばかり。働いているうちに銀行が求める人材が変わっちゃった」

 ヤメ銀の取材で出会った40代前半の現役バンカーの話は非常に印象に残るものだった。

 もともと筆者(54)が取材を始めたきっかけは、大学の同級生だったバンカーたちが最も不憫な世代だと思ったからだ。就職活動のころはバブル経済真っ盛りの超売り手市場で、ちやほやされて入行した。しかし、ほどなくバブルが崩壊。任された仕事は不良債権処理だ。並行して金融大再編が進んだ。おかげで当初は3人に1人が支店長になれる計算だったのが、10人に1人の狭き門になった。「こんなはずじゃなかった」――バンカーになったことを、今どう思っているのかを聞いてみたかったのだ。だが、「違いますよ。大変なのは僕らですよ」と言ったのは、一世代下の、40代のバンカーだった。

 思いあたるフシがあった。大手銀行の企画部で働く同世代のバンカーに「銀行にとって(金融とデジタルが融合した)フィンテックは無視できない存在だけれども、僕らはデジタルとかITに疎いじゃない。困らないの?」と聞いた時のことだ。知人は「分からなくたって問題ないよ。若い行員に教えてもらえば良いんだから。僕らおじさんは、それを聞いて判断するのが仕事だ」と答えた。彼が言う「若い人」とは、少なくとも40代ではあるまい。

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source : 週刊文春 2021年5月20日号

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