ピコン、ピコン、ピコン……。小誌記者の目の前で、医療機器のアラーム音が鳴り続け、赤や黄色のランプが点滅している。壁に設置されたモニターには、患者の容体を示すチャートがリアルタイムで揺れ動き、水色の防護ガウンやフェイスシールドに身を包んだ医師や看護師が、専門用語を早口で口にしながら、せわしなく動きまわる。
「入ります!」
突如、大きな声が響き、その場の空気が一層張り詰める。ストレッチャーに乗せられた新たな患者が運びこまれてきた。
「あの患者さんは、これから人工呼吸器の挿管です。これでまた、満床ですね」
その場にいた看護師が溜め息まじりにそう説明した。
大阪の“医療崩壊”の実状を取材する記者に、ICU(集中治療室)の様子を見せてくれたのは大阪府高槻市にある大阪医科薬科大学病院。同院は、ICU16床のうち10床と別病棟4床の計14床を新型コロナの重症病床としている。病院長の南敏明氏が言う。
「3月の終わり頃から急激に感染者が増え、病床に空きが出ればすぐに新たな患者が入ってくる。しかも、以前は軽・中等症の病院から重症化した人が搬送されてきていたのに、最近は自宅やホテルから直接搬送されてくるんです。急激に重症化するから対応が後手後手になっていて、人員も人工呼吸器の数も、まったく足りていません」
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source : 週刊文春 2021年5月20日号