茨城の“ポツンと一軒家”が襲われた一家殺傷事件。逮捕された男は16歳の頃、猫を惨殺後に連続少女通り魔事件を起こしていた。大地主一族で何不自由なく育った少年はなぜ、殺人に性的興奮を覚える“モンスター”となったのか――。総力取材でその半生を追う。

中山道の宿場町として栄えた埼玉県北部の町に、一際目を引く風貌の青年が目撃されるようになったのは、2018年の夏頃だった。
「長髪の癖毛を赤だったり黄色だったり、いろんな色に染めていたので目立っていました。日中は家の中で過ごし、出歩くのは食事時のみ。うちのアパートは無料Wi-Fiがあるので入居者は各自パソコンを利用し、部屋の中で過ごす人が多いのです。彼は車やバイクは持っておらず、移動手段は自転車か歩き。仕事はしていなかったと思います」(アパートの大家)
青年が移り住んだのは、地元の社会福祉法人が運営する精神障害者のためのグループホームだ。しかし青年はそこに安住することはなく、1年も経たず埼玉県三郷市の実家に舞い戻った。
「人を殺したくて仕方がない」
19年9月23日未明、そんな欲望を強くした青年は凶器を忍ばせ、スポーツタイプの自転車に跨ると、雨の中、約35キロ先の茨城県西部に向かった――。
茨城県境町。鬱蒼と生い茂る林中に佇む木造一軒家の2階で小林光則さん(当時48)と妻の美和さん(同50)が殺害されたのは、同日未明のこと。1階の無施錠の窓から侵入した帽子にマスク姿の男は、最初に光則さんの胸を鋭利な刃物で複数回刺し、その傷は肺にまで達していた。美和さんは110番通報した直後、首を刺されて事切れた。
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source : 週刊文春 2021年5月20日号