「10年ほど前からヤスさんの周りで、お金が盗られるなど、何度も事件が起きていた。仲間内で『またヤスさんっすか』と冗談にしていましたが、みんな薄々ヤスさんの犯行と気付いていたと思います。盗難や妨害くらいなら見過ごせましたけど、選手にとってドーピング偽装は殺人に等しい。誰が被害者になってもおかしくなく、本当にショックでした」(現役の代表選手)
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カヌー日本代表の座をめぐって起きた前代未聞の薬物混入事件。犯行を自供したのは鈴木康大選手(32)だった。
昨年9月の日本選手権で、鈴木選手は小松正治選手(25)の飲み物に筋肉増強剤メタンジエノンを混入。その結果、小松選手はドーピング検査で陽性と判定され、日本アンチ・ドーピング機構は暫定的な資格停止処分を下したのだ。
さらには、薬物混入だけでなく、金銭の盗難やパドルの破損、メールでの誹謗中傷など妨害行為も次々、明らかになった。
カヌースプリント1000mの第一人者である鈴木選手は、小・中学時代に数々の全国大会で優勝。2010年の広州アジア大会では銅メダルを獲得するなど、輝かしい実績を残している。だが、これまで五輪出場は果たしていなかった。
「13年、元カヌー選手で北京五輪で入賞した久野綾香さんと結婚。結婚後は、彼女の地元である福島県二本松市に拠点を移し、義父が社長を務める久野製作所に入社。同社のスポーツジムを夫婦で運営していた。一時現役を退きましたが、どうしても『夫婦揃っての五輪出場』という肩書きを諦められず、東京五輪の出場に向け、16年から現役復帰していたのです」(日本カヌー連盟関係者)
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source : 週刊文春 2018年1月25日号