ジャニーズ事務所が遂に性加害についてヒアリングを行った。取引先に送られた文書で判明した事実。沈黙を続けてきた現体制が動き出した――メディアはこれを好意的に報道した。だがその調査の実態は杜撰なものだった。

 4月21日、東京・日比谷の日生劇場では、ジャニーズ事務所の俳優、坂本昌行主演のミュージカル「ザ・ミュージック・マン」が上演されていた。

 第1幕終了直前、2階席最前列に座っていた女性のもとに劇場スタッフが近づいた。2人でホールを出て行くと、すぐそばの部屋に入っていく。髪を後ろに束ね、大きなパールのイヤリングが目を引くこの女性は、ジャニーズ事務所の社長・藤島ジュリー景子氏である。

 20分後、事務所スタッフらしきスーツ姿の男性数人を伴って部屋から出てくると、劇場幹部が挨拶に駆け寄る。彼女はにこやかに応じると、第2幕が始まるホールへ足を向けた。

――週刊文春です。ジャニーさんの性加害についてコメントを頂きたいのですが。

「……」

 ジュリー氏は一瞬、記者と目を合わせたが、すぐ視線を逸らす。一歩横へ身体を移し、間に入ったスタッフの後ろに身を隠し、座席へと戻っていった。

初回登録は初月300円で
この続きが読めます。

有料会員になると、
全ての記事が読み放題
コメント機能も使えます

  • 月額プラン

    1カ月更新

    2,200円/月

    初回登録は初月300円

  • 年額プラン

    22,000円一括払い・1年更新

    1,833円/月

週刊文春 電子版 PREMIUMMEMBERSHIP 第1期募集中 詳しくはこちら

※オンライン書店「Fujisan.co.jp」限定で「電子版+雑誌プラン」がございます。ご希望の方はこちらからお申し込みください。

有料会員になると…

スクープを毎日配信!

  • スクープ記事をいち早く読める
  • 電子版オリジナル記事が読める
  • 解説番組が視聴できる
  • 会員限定ニュースレターが読める
有料会員についてもっと詳しく見る
  • 0

  • 0

  • 0

source : 週刊文春 2023年5月4日・11日号