「おカネに関しては、カルロスは正しいことをしたことがありません。高額な所得を隠すために、色々なことをしていた。今回の逮捕は、彼のような人間には当然の結果だと思います。彼の弁護士から『俺は(税金などについて)魔法を使える』と自慢されたこともある。カルロスはお金に関する感覚がおかしい。私はレストランを経営していたことがありましたが、『5ドル稼ぐために人に尽くすなんて』とバカにされたこともありました。日本での逮捕を機に、フランスでも何か出てくるでしょう。あの国は税や所得関連の不正を探すのが得意だから」
11月19日夕方、小誌の取材にそう語るのは、リタ・ゴーンさん。東京地検特捜部にこの日、金融商品取引法違反で逮捕された日産自動車会長兼仏ルノーCEOのカルロス・ゴーン容疑者(64)の前妻だ。
社会部デスクの解説。
「逮捕容疑は11年3月期から15年3月期のゴーン容疑者の報酬が実際には約100億円だったのに、約50億円と記載した有価証券報告書を提出したというもの。今回、ゴーン容疑者と共に逮捕された代表取締役のグレッグ・ケリー容疑者は、米国の牧場経営者です。役員としての勤務実態はほとんどありません。ゴーン氏の言いなりになる人物だからという理由で、代表取締役に居座り続けていました」
特捜部は約1カ月前から地方から応援検事を呼び、内偵捜査を進めていた。黒川弘務法務次官も「経済班が動いているのは事実だ」などと漏らしていたという。
「逮捕の引き金になったのは、日産社内からの内部告発です。今年の初め頃から、ある役員を中心に社内の“極秘チーム”がゴーン氏の会社私物化について様々な情報を集めていました。西川廣人社長もその動きは知っていたようです。その過程で、ゴーン氏がリタさんとの離婚訴訟費用や、新妻のキャロルさんと暮らすニューヨークのマンションの賃料を出させていた、という情報も上がってきた。インド事業を巡って、家族ぐるみで付き合う友人を販売会社のトップに就けていたという問題も過去にはありました」
そう明かすのは、日産関係者だ。
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source : 週刊文春 2018年11月29日号