日産極秘チームの告発で、次々と明るみに出るゴーン氏の会社私物化。その原点とも言えるのが、新生銀行との取引で生じた17億円もの私的損失を日産に肩代わりさせようとした疑惑だ。当時、新生の幹部だった政井貴子氏に、ゴーン氏が会議室で発した言葉とは――。
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2008年秋、東京・東銀座にあった旧日産自動車本社。新生銀行キャピタルマーケッツ部部長(当時、以下同)の政井貴子氏、ウェルスマネージメント部営業部長、コンプライアンス担当部長の3人は、日産のカルロス・ゴーン社長兼CEOと向き合っていた。
ゴーン氏が06年頃、自身の資産管理会社と新生銀行との間で契約したデリバティブ取引。ところが08年9月のリーマン・ショックで巨額の損失を出し、担保不足に陥ってしまう。その対応策を巡る協議の場がこの日、設けられたのだ。
秘書も同席させず一人で現れた大口顧客に、緊張した面持ちの3人。そこで政井氏らはゴーン氏に“ある提案”を行う。金融界の常識から言えば、信じ難い内容だった。緊迫の会議は60分間に及んだという――。
「17億円の損失付けまわし問題」とは?
それからおよそ10年が経った今年11月19日、ゴーン氏は東京地検特捜部に逮捕されたのだった。
「容疑は10年度~14年度の有価証券報告書に、実際の報酬は約100億円だったのに約50億円しか記載しなかったという金融商品取引法違反(虚偽記載)。実際には年約20億円前後の報酬でしたが、ゴーン氏は『高額報酬が開示されれば従業員の労働意欲が落ちると思った』などと説明しています」(社会部デスク)
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source : 週刊文春 2018年12月13日号