「不正乗車を行なった大阪の2支店は当時から成績がよく、むしろ頼もしいとさえ思っていました。まさか背景にこのような不正が隠れていたとは……。(2013年から15年まで)2年間社長を務めた京王観光で、これだけの不正を見つけられなかったことは、悔やんでも悔やみきれません」
小誌の取材にこう陳謝するのは、京王観光の親会社・京王電鉄の紅村(こうむら)康社長(60)である。
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小誌前号で明らかとなった、京王観光の大阪2支店における組織ぐるみのJR不正乗車事件。JR側の被害額は二億円を超すとも見られるが、なぜそんなことが可能だったのか。京王観光の関係者が、手口の詳細を明かす。
「京王に限らず、大手旅行代理店には、『マルス』と言うJRの発券端末があります。そこでは、やむを得ない事情による払い戻しをいちいち行うのは煩雑なので、とりあえず無料で発券する、“0(ゼロ)円発券”が可能です。今回の不正はこれを利用していました。0円発券を行い、乗ることが確定したら有料発券に切り替える“発行替え”をするのが通例ですが、それをしなければJR側の売上に計上されることはありません。例えば100人の団体ツアーなら、50人分はきちんと発券し、残りの50人分は0円発券で乗ってしまう。すると、50人のお客さんが支払った代金が丸々儲けになるというわけです。万が一、車掌に見とがめられた時に備えて、添乗員は必ず有効期限3カ月の指定席回数券を携えていた。“もしも”の時はそれを見せればいい。旅行代理店の立場を利用した周到かつ悪質な手口です」
この方法には、JR社員も納得する。
「添乗員さん同行となれば、こちらも信頼しますしね。最近は新幹線車内でも指定席券の確認は省略されましたから、より不正がしやすくなっていたと思います」
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source : 週刊文春 2019年1月24日号