東京ミッドタウンに程近く、地下鉄「乃木坂」駅から徒歩30秒という好立地。アパレルメーカー「三陽商会」が所有する約1500平方メートルの土地には6階建てのビルが建つ。「滅多に出ない超優良物件」(不動産会社)と言われるこの不動産を巡り、昨秋から水面下で激しい駆け引きが行なわれていた。暗躍していたのは、元ジャニーズを名乗る詐欺罪の前科がある人物だった。
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三陽商会と言えば、1965年に英国ブランドの『バーバリー』と契約、輸入販売を手掛けるようになって急成長を遂げた老舗アパレルメーカーだ。東証一部上場も果たし、90年代には女子高生の間でバーバリーのマフラーは必須アイテムとして人気を博した。
しかし2015年、頼みの綱だったバーバリーとの契約が打ち切られたことで、赤字に転落し、経営状況は暗転する。
「2016年12月期は約70億円の大幅な営業赤字になる見通しです。現在は、後継ブランドの整理や2度の希望退職で約500人の人員を削減したが、復調の兆しはない。メインバンクの三菱東京UFJ銀行からも保有不動産の売却など、資産整理を求められており、その目玉となっているのが乃木坂駅すぐの“青山ビル”です。不動産を取得した当時は約32億円だったものが、現在は簿価が値上がりし、購入希望先からは130億円の買付証明が出ているとされています」(三陽商会関係者)
そして買主の有力候補として名前が挙がったのが、売上高1000億円と言われるジャニーズ事務所だった。
「大手ゼネコンから話が持ち込まれ、ジャニーズ事務所幹部が内見にまで行ったと聞いています。ジャニーズはメインバンクのみずほ銀行から財務の専門家を受け入れているようで、彼らの助言を得て関連会社や個人名義で、港区や渋谷区などに多数の不動産を購入しているのです」(都内の不動産関係者)
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source : 週刊文春 2017年1月26日号