「息子は首から下の感覚がありません。両手足だけでなく、体幹の感覚もないんです。生殺しというか、首から下を生き埋めにされているようなものです。
息子はずっと『怖い、怖い』と口にしていました。最初の頃は『お母さん、俺のここ触ってみて、あそこ触ってみて』と私に体を触らせるのですが、『わからへん、わからへん』って。もちろん手を握っても反応はない。そして涙を流しながらこう言うんです。『今まで普通に過ごしてきたけど、俺はかゆいとこもかかれへんし、涙もふかれんくなってしまったわ』」
こう切実に語るのは、レスリング元学生王者の谷口慧志(けいじ)選手(22)の母親だ。
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2017年9月13日、拓殖大3年生だった谷口選手は、味の素ナショナルトレーニングセンターで行われた代表強化合宿に参加。社会人選手(24)とのスパーリングで投げ技を受け負傷。頸髄損傷・神経断裂という大怪我を負い、全身不随の状態で回復の見込みがないと診断された。
そして今年3月28日、谷口選手と母親は、日本レスリング協会の強化本部長だった栄和人・元至学館大監督、相手選手らに対し、損害賠償を求める訴訟を起こした。
谷口選手は代理人の貞友義典弁護士による聞き取りに対し、事故当時の状況を次のように語っている。
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source : 週刊文春 2019年4月18日号