戦前日本共産党史上に名高い謎の人物・スパイM、この男のことは、かつて松本清張氏が「昭和史発掘」で、立花隆氏が「日本共産党の研究」で取り上げたことがあるが、まだ多くの謎が残っていた。気鋭のライター2人が、その出生から死までを克明に追い、ついにその全貌を捉えた!
※「週刊文春」創刊60周年企画「もう一度読みたい、あのスクープ記事60本」より、アンケート得票数の高かった記事を特別再録します。本記事は1980年5月1日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。
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ひとりの男が死んだ。昭和40年のことである。
翌日、ごく内輪だけのささやかな葬式の手はずが整えられた。ところが、式の直前になって、予期せぬ事態が発生した。役所が火葬許可証を出せないといいだしたのである。男の本籍地に問い合わせたところ、該当する戸籍が存在しないという。
火葬許可証がないと葬式はできない。折悪しくこの日は土曜日だったので、役所の開いている午前中になんとかしないと、式は月曜日まで延期せざるを得なくなる。
遺族はかねて知り合いの職員に口添えを頼み、窓口で窮状を訴えた。戸籍がないといわれても、火葬を待つばかりの遺体が現に存在しているではないか……。
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source : 週刊文春 1980年5月1日号