ユニクロは私の著書を名誉毀損として2億2000万円の損害賠償を求める裁判を起こした。私は勝訴したが、柳井社長はその後インタビューで「悪口を言っているのは僕と会ったことがない人がほとんど。うちの会社で働いてもらって、どういう企業なのかをぜひ体験してもらいたい」と語った。ならば実際に働きながら取材しよう。以後800時間を超える労働から浮かび上がったのは、サービス残業と人手不足の実態だ。11月23日からの“ブラックフライデー”。「奴隷の仕事だよ!」「心が折れる」今日も新宿ビックロの職場では怒声が飛び交う――。(文:横田増生)
※「週刊文春」創刊60周年企画「もう一度読みたい、あのスクープ記事60本」より、アンケート得票数の高かった記事を特別再録します。本記事は 2016年12月8日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。
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11月27日日曜日、午後2時前に出勤すると、休憩室で女性が長机の一角に突っ伏しているのが目に入った。3階のレジ部門を担当する準社員の女性だ。明らかに具合が悪そうだ。「大丈夫ですか」と声をかけると、「ううん」という肯定とも否定ともつかない一言が返ってきた。23日の感謝祭初日には、高いテンションで売り場を仕切っていた彼女の姿とは180度違っていた。結局、彼女は早退した。
毎年恒例のユニクロ感謝祭は、この日から未体験ゾーンに突入していた。昨年は4日だった感謝祭が7日に延び、日曜日は5日目にあたっていた。
毎年11月下旬に開かれる創業感謝祭は、ユニクロにとって、年末商戦と並ぶ重要なイベントだ。ユニクロは、ほかのアパレル企業と異なり、11月と12月で年間の利益の半分を稼ぐといわれている。
感謝祭の重要性は、ユニクロを運営するファーストリテイリングのトップ・柳井正社長の叱咤激励からもわかる。社内で回覧される部長会議ニュースでも、「感謝祭が勝負であり、そこで業績が決まる」(11月21日付)とし、本部の社員は店舗に手伝いに行くよう指令を出している。
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source : 週刊文春 2016年12月8日号