黒装束にサングラス姿、障害のために杖をつき、左手には白いサポーター。全聾の上に様々な困難を一身に背負う男は「絶対音感」を頼りに作曲を続けてきた――。だがそれは、何重にも嘘に塗り固められた虚飾の姿だった。18年間、「共犯者」を務めた男の懺悔告白。
※「週刊文春」創刊60周年企画「もう一度読みたい、あのスクープ記事60本」より、アンケート得票数の高かった記事を特別再録します。本記事は2014年2月13日号より転載。記事中の年齢や日付、肩書き等は掲載時のものです。
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暮れも押し詰まった昨年12月15日。横浜市保土ケ谷区にあるマンションの一室で、2人の男が向かい合っていた。
「もうこんなことは終わりにしましょう。あなたは以前、このことがばれそうになったら障害が酷くなったという理由で音楽界から引退すると言っていたではないですか。これ以上世間を欺き続けるのは無理だ。既に雑誌やネットの世界では、あなたに対する疑念の声が上がっているし、私自身としてもこれ以上嘘をつき通すのは限界だ。こんなことはもう止めましょう」
小柄な男がそう切りだした。日頃は口数が少なく、人との会話もぼそぼそと話す男のわりには、それはきっぱりとした物言いだった。
だが、大柄で黒装束を身にまとった男は、聞く耳を持たず、こう切り返した。
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source : 週刊文春 2014年2月13日号