自分の妻が「性被害」に遭ったと知ったとき、あなたならどうするだろうか。本誌が報じた広河隆一氏(75)による女性たちに対する性暴力。8人の被害者の取材で唯一、女性に付き添った男性(30代)が妻の被害を知った時の衝撃と、こみ上げる怒りを明かした。
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「ちょっと話があるんだけど……」と妻から言われたのは、去年9月の真夜中でした。寝る準備を済ませ、寝間着姿でベッドに横並びに腰掛けていたときのことです。ふだんあまり深刻な表情を見せない妻が、いまにも泣き出しそうな顔をしているのに驚きました。
じつは、妻がDAYS(広河隆一氏が2004年に創刊した月刊報道写真誌「DAYS JAPAN」。以下同)でセクハラを受けたらしいことは知っていました。妻と出会って10年ほどになりますが、結婚前、「あそこはセクハラがひどい!」と妻が声を荒げたことがあったからです。
ただ、具体的にどんな被害に遭ったのかは知らなかった。セクハラの話が出たときも、何があったのか聞くことはしませんでした。いま妻は元気なんだから、あえて掘り起こさなくていいじゃないか。そう思ってたんです。当時は妻に辛い思いをさせたくないという考えでしたが、いま思うと自分が嫌な気持ちになるのが怖かったんだと思います。
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ベッドの端に座って小刻みに体を震わせている妻の口から出てきたのは、衝撃的な内容だった。フォトジャーナリスト志望だった妻が、尊敬していた広河氏に「写真を教えてあげる」と言われてホテルに呼び出され、望まないセックスをさせられたこと。別の日、怒られた後に「わかりあうのが一番だ」と言われ、ホテルで再びセックスに及ばれたこと。いまその件で取材の申し込みを受けていて、迷っていること――。
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source : 週刊文春 2019年5月16日号