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退会をめぐる“嫌がらせ”の実情

 なお、最近はやや減ってきましたが、数年前までは「PTAを退会する」「入らない」というと、「お子さんに記念品を渡せません」「PTAのお祭りにお子さんが参加できなくなる」などと言われ、子どもに不利益があることを示される例が珍しくありませんでした。

 ケース1で登場したPさんは、4年前にPTAを退会しようとした際、校長から直々に子どもに不利益があることを告げられましたが、教育委員会に相談したところ、校長は瞬時に前言を撤回。Pさんは「役員を引き受けなくてもいい」と言われ、退会を保留したそうです。

 ケース2のDさんも8年前に退会を伝えたとき、「お子さんは登校班で通えなくなる」「記念品をあげられない」などと言われたとのこと。ですが、話し合いの結果、登校班で通うことが認められ、記念品については実費(160円)を払いつつ「本当は非会員からお金を徴収するのはおかしいと思う」と毎年伝えてきたところ、今年度は請求が来なくなったそうです。

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PTAの実態を紹介した大塚玲子氏の著書『さよなら、理不尽PTA!』(辰巳出版)

 PTAは任意で加入する団体であると同時に、その学校に通うすべての子どものための活動をする団体でもあります。手紙の配布や会費の徴収を代行してもらうなど学校から特別待遇を受けている団体が、非会員家庭の子どもを除外することは許されないはずです。もしPTA非会員の子どもへの不利益を提示されたら、まずは校長先生に、それがダメなら教育委員会に相談を。必ずとはいえませんが、仲介してもらえるはずです。

 最後に1点だけ、筆者からお願いです。

 PTAに入らない、あるいは退会する場合、どうか同じ保護者である役員さんを責めないでください。そのPTAに問題があるとしても、おそらくその大半は、以前から続いてきたやり方が問題なんです。いまの役員さんだけを責めても、かわいそうな面があります。おかしいと思った点を伝えることは大事ですが、誰かを責める必要はありません。

 子どもが新入学する、晴れがましい季節です。どうかすべての保護者が、PTAのことで悩まずに過ごせることを祈っています。