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〈韓国で前代未聞の“大谷翔平ブーム”〉「マンチッナム(漫画から破り出てきた男)」というあだ名も…韓国人はなぜ大谷を支持するのか

2023/04/06
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「アジアの宝 韓国人も魅了した日本のオオタニシンドローム」(アジア経済、3月27日)では、大谷のMLBでの軌跡をたどりながら、「MLBでは大谷がアジア人の代理満足」になっていると書いた。

 記事には、「大谷はただひとりの人として尊敬させる」、「韓国にもこんな選手がいたら」、「大谷と同じ時代を生き、彼のすばらしい姿を見られて本当に嬉しいし、わくわくする」などのコメントが書き込まれていた。

©AFLO

メキシコ戦の後、韓国のツイッタートレンドに村上の名前が浮上

 注目を浴びたのは大谷だけではない。前出の40代の会社員はこんなことも言っていた。

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「日本とメキシコ戦もひりひりするいい試合でした。村上選手も、あのプレッシャーの中でよくヒットを打ったなあと、注目するようになりました。米国戦ではホームランを打ったでしょ。

 調べてみると、日本で2年連続MVPを獲っていて、でも今大会では調子があがらなかったとか。日本は大谷以外にも実力のある選手が揃っていると思いましたし、調子の出なかった村上選手を起用し続けた栗山監督にも興味がわきました」

 村上は、メキシコ戦の後、韓国のツイッタートレンドに名前が挙がっていた。そこでは「少年漫画の主人公」、「村上は日本版、北京オリンピックでの李承燁」(2008年の北京オリンピック準決勝で李承燁選手がホームランを打ち、韓国が日本に逆転勝ちしている)、「村上選手って実力もあるけど、むっちゃ面白いよ」と以前からのファンと思われるつぶやきもあった。

韓国代表の「その後」

 韓国代表は3月14日、韓国に帰国したが、ほとんどの選手がメディアの前に姿をあらわさず。インタビューを1人で受けた李強喆監督は、「申し訳ない。申し訳ないの言葉しかない」と言いつつも、ややいらだちを隠せない口調だった。WBC後、日本戦で日本キラーといわれ3回まで好投した、金広鉉や金賢洙、梁義智のベテラン組が代表からの引退を宣言している。

 今大会1次ラウンド敗退、日本に惨敗した原因については、「投手力の低さ」「肩が悪くなるといわれ投手が十分な投球ができない環境」、「(高校時代などに)練習する時間を他の学習にとられる」などさまざまな原因探しがされたが、民放SBSの記者は「問題はそこではない」とし、「2年前から韓国野球と世界の野球の実力の差が少しずつ広がっており、一日も早く現代化、科学的な野球へ進むべきだと警告したことがある」と報じた(3月31日)。

「日本はずいぶん前から野球の現代化、科学的な野球を始めており、品格と知的能力を備えた健全な社会人を育てるシステムを持った野球界の道を歩んでいた」と論じ、その立役者として栗山英樹WBC日本代表監督と吉井理人投手コーチを取り上げた。

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