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「えごしをよろしく」「えごしたのむで」大阪で感じた日本ハム・江越大賀選手への温かい思い

文春野球コラム ペナントレース2023

2023/05/30
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「よろしくね」「たのむよ」。この言葉について今まで深く考えたことはなかった。

「よろしくね」「たのむよ」。大阪で何度もこの言葉をかけられて、この言葉の持つ温度を感じた。

「えごしをよろしくね」「えごしをたのむよ」。たった2日しかいなかったのに、深く胸に刻まれた。江越大賀選手、彼には関西の野球ファンからの温かい思いがまだまだ降り注いでいる。

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江越大賀 ©時事通信社

ファイターズで姿を変えようとしている江越選手

 私は北海道でファイターズを応援するラジオ番組を担当している。番組では年に何回かリスナー参加型のビジター応援ツアーを組んで、私も同行させて戴く。

 今シーズンまず向かったのは京セラドーム大阪、5月20日、21日の土日、バファローズとの試合を観戦してきた。ちょうど「大阪代表バファローズ高校」というイベント中で、履正社高校と大阪桐蔭高校の吹奏楽部の皆さんの演奏や、バファローズの選手の甲子園出場時のユニフォームの展示など、高校野球の聖地のある関西のムードも存分に楽しませてもらった。

 三塁側の内野席におよそ80名で陣取った私たちはお揃いの帽子をかぶり応援、レフト方向に打球が飛ぶとABCラジオのブースからも中継の中で話題にしてもらった。

 その放送席には試合の前にご挨拶に伺った。関係者通路を通って裏のエレベーターで6階まで。華やかな表側と真逆とも言える壁や廊下の雰囲気に建物の歴史も感じ、最近は新球場に浮かれていた分、スタジアムの重みで身が引き締まった。

 試合中継前の放送席でひとしきりお話しした後にタイガースOBでもある解説の中田良弘さんからこう聞かれた、「ところで、江越はどうですか?」。

 昨シーズン終了後、タイガースからファイターズへトレード移籍した江越大賀選手。プロとしては今年9年目の30歳、身体能力の高さは誰もが認めるけれど、3年目以降はもがいていた。その選手がファイターズでいま姿を変えようとしている。

 新庄監督の思い入れも強く、キャンプ中のマンツーマンでの指導も熱量がすごかった。江越選手は今までのバッティングの概念を変え、フォームを捨て、新しい自分を作ろうとしている。

 私は中田さんと実況のABC・中邨雄二アナウンサーに、江越選手は骨折しているのに1軍にずっといて、しかもそのことについて多くを語らないし何だか侍みたいな人です、体強すぎです、とまくしたてた。

 シーズン前に右手首、シーズンに入ってから4月初旬に肋骨を骨折している。きっと完治しているんだろうけど、強い打球を打ったり、守備でフェンスにぶつかったりするとひやひやする。中田さんは「彼はそういうところあるよね」と笑っていた。そして「調子が悪くなるとちょっと長引くこともあるんだけど、どうか、江越をたのみますね」とやさしい笑顔で仰った。

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