文春オンライン

東京の“本州唯一の村”「檜原村」には何がある?

東京の西の西へ#2

2023/10/30
note

 そして、村役場前から檜原街道をさらに西にゆくと、すぐに橋があって、それを渡ると道が二手に分かれている。西東京バスの行き先でいえば、右手(北西)が藤倉行き、左手(南東)が数馬行き。檜原街道は、数馬行きの左手に分かれている道に続く。

 数馬の先では奥多摩周遊道路に通じ、レジャー施設になっている「檜原都民の村」もある。また、そこに行く手前では甲武トンネルを抜けて山梨県内に入る道も分かれる。昔からの檜原村の中心的な街道といっていい。

 右手に分かれる藤倉方面の道もまた、檜原村の大動脈だ。くねくねと川沿いを進むのは檜原街道と同じ。森のおもちゃ美術館などの前を抜け、こちらも奥多摩周遊道路に通じる。

ADVERTISEMENT

 そこからひと山北に越えれば奥多摩湖。奥多摩周遊道路を除けば、このふたつの道が、檜原村を支える交通の根幹になっている。いずれの道も、村役場の前を通ってから二手に分かれるから、やはり役場前が檜原村の中心なのだ。

山に囲まれた村を歩くと…

 村の中心部を少し歩く。周囲はもちろん山だ。民家や商店があるのは道路沿いに限られる。河谷に沿った道路に面して店や集落、公共施設がぽつんぽつんと連なってゆく。実に山間の村らしい風景が続く。村役場の周囲には、保育園や消防署、小学校や中学校まであるから、まさに中心市街地そのものといっていい。

 五日市方面からやってきて二手に分かれる橋のたもとの交差点は、橘橋と名付けられている。橋の名前からそのまま頂いたものだ。その道を左手にゆくと、いきなりのヘアピンカーブ。そしてすぐに、採石場らしき場所が見えてくる。

 周囲に民家の類いはないから、山の中に急に現れた工場にはなかなかの迫力を感じる。そういえば檜原街道、盛んにトラックが走っていたが、それはこの工場があるからなのだろうか。

 

 反対に、橘橋から右手に進むと、こちらのほうはやや開けたエリアが続く。民家が並び、川の向こうに小学校と中学校。檜原村観光の目玉になっている払沢の滝も近い。

 休日には観光客で行列もできるというお豆腐屋さんの脇を抜け、整備された山道の中を入って15分ほど歩くと、いちばん奥にあるのが払沢の滝だ。落差約60mの4段の滝で、滝壺近くまで降りてゆくことができる。日本の滝100選にも選ばれている名瀑のひとつだ。