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19歳で出産、“脳性まひ”の息子を育てて24年…母親(44)が子どもの将来に思うこと「私たちが年老いたら、彼はどう生きていくのか」

畠山織恵さんインタビュー #2

2023/12/24
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 幼いうちは、自分で決める回数が多いほど、失敗も多くなるかもしれません。でも、自分で何かを選んだ経験は、自信につながっていくと思うんです。とはいえ、私も余裕がないときは「何考えてるの!」と怒ってしまうこともあります。だからこそ、「親も間違うことはある」と伝えておくのも大事だと思いますね。

亮夏さんが自分で判断できるようサポートしている(写真=畠山織恵さん提供)

初対面の人とキャンプ、車椅子でヒッチハイク…亮夏さんが挑んだ“驚きのチャレンジ”

――些細なことでも、「自分で考えた」「自分で決めた」経験を積み重ねて行くことで、自信が持てるようになる。その結果、亮夏さんは障害を抱えながら、様々なチャレンジをしていきます。

畠山 小学校のときは親以外の大人との外出にチャレンジし、中学生のときには生徒会の役員になりました。高校では、初対面の方と2人でキャンプをし、車椅子でのヒッチハイクにも挑戦しました。

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――特に印象深いチャレンジはありますか。

畠山 小学校3年生のときに、担任の先生とカフェに行ったことですかね。亮夏にとって、親以外の大人との初めての外出でした。「誰とでも、どこへでも出かけられるようになることで、亮夏の世界は広がるんやで」と誘ってくれた先生には、感謝しかありません。

「本当は行きたくないな」って顔をしながらも「アイスのカフェラテ、飲んでみたい」と言って、亮夏は新しい世界への一歩を踏み出しました。それから少しずつ、親以外の人と外出する機会が増えていきましたね。

車椅子でのヒッチハイクに挑戦したこともあるという(写真=畠山織恵さん提供)

――高校生のときには、初対面の方と2人でキャンプをしたんですよね。どんどんチャレンジの幅を広げて、すごいなと思いました。

畠山 キャンプは自分から「やってみたい」と言ったのに、直前になってから“行きたくないオーラ”を出していましたけどね(笑)。

 その当時の亮夏の夢は「日本一周」でした。車椅子の亮夏が日本一周をするには、その土地土地で出会う人たちの協力が不可欠です。その練習として、初対面の人とテントで一晩寝泊まりすることにチャレンジしました。初対面と言っても、介護の知識や経験があって、オンラインで何度かやりとりしていた方です。ただ、その日が近づくにつれて不安も大きくなっていったようで……。