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〈なぜ?〉35年の歴史を持つスクエニ“超有名RPG新作”が発売前から「クソゲー」扱いされていた“悲劇”のワケ

〈なぜ?〉35年の歴史を持つスクエニ“超有名RPG新作”が発売前から「クソゲー」扱いされていた“悲劇”のワケ

2024/05/09
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 最後は、Nintendo Switch版の動作問題である。『サガエメ』は複数のハードで発売されることになっており、PS5版とPC版は快適に遊べるようだ。しかし、Nintendo Switchでは動作も遅くロードもだいぶ長い。

 幸いなことに、Nintendo Switch製品版はパッチで動作がいくらか改善されたと報告されている。とはいえ、可能であれば貴重な可処分時間をロードの闇には消したくないものだ。

そもそも「サガらしさ」はすべての人に理解されるわけではない

 では、『サガエメ』がクソゲーなのかといえば、私はそうではないと考えている。高難易度のバトルのおもしろさは確実にあるのだ。

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 そもそも、「サガ」シリーズは尖ったRPGである。誰でもクリアできるようなゲームとは正反対で、ものによっては余裕で詰み状態になりかねないのだ。物語の進行方法がわかりにくかったり、バトルシステムが理解しづらかったりするのである。

『サガ エメラルド ビヨンド』のバトル画面。画面下部のタイムラインを管理するというゲームシステムで、独自要素がたくさん存在する。画像は任天堂公式サイトより

 たとえば『ロマンシング サ・ガ』は巣を掘り返したアリのように大量の敵が出てくるし、『サガ フロンティア2』はミニゲームとなるシミュレーションゲームで挫折しうる。どこでもセーブできる作品が多く、それゆえにラスボスに勝てず詰みになることもしばしば。まるで罠のようなシステムだ。

 PS2で発売された『アンリミテッド:サガ』は特に異質で、最初は「サガ」ファンすらついていけなかったようだし、クソゲーと呼ばれ投げ売りされた。かつての福袋の常連タイトルであり、「108円で買えるゲーム」とよく言われていた。一方で、やり込んだプレイヤーはその魅力を発掘している。

『サガエメ』は約8年前に発売された『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』のシステムを受け継いだ作品で、キャラクターや世界設定などを豪華にした続編に近い存在である。その前身となる作品も、はっきりいってわかりにくいタイプの作品だ。

独創的なバトルシステムが大きな特徴となっている『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』。 画像は任天堂公式サイトより

 ただ、「バトルシステムがおもしろいからOK」というなかなかぶっ飛んだゲームなのである。