「最高にうれしい。こういう場が来るなんて」
1月31日に開かれた愛息琴ノ若の大関昇進を祝う会見の場で、涙ぐんだのは元関脇の佐渡ヶ嶽親方(55)。だが、その裏で部屋をめぐる法廷闘争が――。
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佐渡ヶ嶽部屋の元力士である柳原大将(だいすけ)氏(四股名は琴貫鐵)が、日本相撲協会と佐渡ヶ嶽親方を提訴したのは2023年3月のこと。
「発端は2021年1月、柳原さんがXで『コロナを理由に休場を希望したところ、出るか辞めるかの2択だと伝えられ、引退を選んだ』と発信したことでした」(大相撲担当記者)
不本意な形で引退に追い込まれた柳原氏は、慰謝料など約410万円を求めて提訴に踏み切った。
裁判において柳原氏は、部屋がいかに過酷な環境だったのか語っている。曰く「カビの生えた肉を食べさせられた」「説明もなく場所手当から『旅行積立』などと称して月1000円ほど引いていた」等(協会側、佐渡ヶ嶽親方は「主張には多くのうそが含まれている」と反論)。
『(カビが生えた)表面を削げば食べられるだろう』
2月9日、その裁判に大きな展開があった。柳原氏側が、同時期に佐渡ヶ嶽部屋に所属していた別の元力士の陳述書を提出したのである。相撲関係者が、その内容を明かす。
「陳述書は柳原さんの主張を裏付けるものでした。腐敗した牛肉について〈親方は、『(カビが生えた)表面を削げば食べられるだろう』『焼き肉のタレに漬け込めば臭いは消える』〉と語って弟子たちに食べさせていたと書かれています」
さらに、米にも虫が湧いていたとの主張も。
「2014年夏に暑さから米に虫が湧いたが〈親方は、『虫を取り除けば食べられるだろう』と言い、捨てた米を拾って食べるよう命じました〉。その前後の時期には〈間違って古い米を佐渡ヶ嶽親方に出してしまい、怒られたことがありました〉とも」(同前)