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「なぜ私ばっかり、ひどい目に遭うんだろう」上島竜兵が亡くなってから3か月後…妻・上島光が受けた“乳がん宣告”――2023年読まれた記事

『竜ちゃんのばかやろう』より #2

2024/05/02
note

 血液検査、エコー検査、マンモグラフィー検査をして、次回のMRI検査の予約を取りました。慣れない検査で緊張しましたが、診察後、懐かしいY先生にもお会いすることができ、安堵した気持ちになりました。

 Y先生にここ数カ月間に起こった出来事を話していると、とてつもない後悔がどっと押し寄せて来ました。それは、様子のおかしかった竜ちゃんについて、なぜY先生に相談することを思いつかなかったのかという自責の念でした。

「専門外でもY先生ならきっと適切なアドバイスをしてくれただろう……」

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 私は自分の視野の狭さを呪いたくなりました。

心もとない中で迎えた竜ちゃんの初盆

 実家のある町から都内にある病院へは、午前の予約だと車で片道3時間かかることもあります。

 2回目の検査のときには、兄が病院まで付き添ってくれることになりました。18歳で上京してから私が早くに結婚したので、兄とふたりで過ごすのは、ずいぶんと久しぶりでした。兄は都内の運転は不安だと言うので、私が往復運転しましたが、これまでなんでもひとりでやることに慣れ過ぎていて、こんなときは甘えていいのだなとうれしくなりました。

 MRIと生体病理検査の結果は、お盆休みをはさむことになり、普通なら1週間で出る検査結果が2週間かかると聞きました。

 そんな心もとない中で迎えた、竜ちゃんの初盆は、まだ納骨も済んでいなかったので、兵庫県の菩提寺のご住職が、遠隔でお経をあげて下さることになりました。

 僧侶をしている私の友人も遠く北九州におり、葬儀のときから事あるごとに遠隔でお参りして、初盆もやはり読経してくれたそうです。私の知らないところでも、これまで竜ちゃんを支えてくれた仕事関係の方々や応援してくれた多くのファンの皆さんが成仏できるようにと祈ってくれたことは、本当にありがたく思います。

 遠隔読経のため、家にお客様をお招きしなかったので寂しい初盆でしたが、私の友人たちと、兄の家族、母の犬友達の人たちがお参りに来てくれました。

 竜ちゃんと交流があった人では、島崎和歌子さんから供花、げそちゃんからはお供えの品が届きました。

 生前、誕生日のときにも毎年必ずお祝いを贈ってくれた、このおふたりの変わらぬ竜ちゃんへのお気遣いは、とても温かく嬉しいものでした。